2010年11月30日
大学院初の試み「読書会」開く 赤染晶子著『乙女の密告』読む
11月28日(日)午後1時より11号館2階会議室で、大学院主催(本の虫プロジェクト・国際言語平和研究所共催)による「読書会」が公開講座として開催されました。「読書会」開催は大学院として初の試み。参加者は30人と少なかったのですが、全体討論では活発な意見が出るなど、中味の濃い読書会となりました。
対象作品は、2010年芥川賞受賞の赤染晶子著『乙女の密告』。赤染氏は1997年ドイツ語学科の卒業生。作品は、本学の言語コミュニケーションの場を舞台に『アンネの日記』との関わりで自己の在り方を問うたもの。
「読書会」は三部構成で、第一部にはジェフ・バーグランド氏(英米語学科教授)、西田朋子氏(読売新聞記者)、松本愛咲氏(博士課程英米領域)の各氏がそれぞれの視点で『乙女の密告』を論じました。バーグランド氏の日本文化への造詣の深さには定評があり、専門の異文化間コミュニケーション論からの指摘には好奇心あふれるものを感じさせられました。また、今回招いた学外者である西田氏には、芥川賞受賞に至るまでの取材を通じて感じたこと、芥川賞が決まるまでの経緯や選考委員のことなど、一般の者では知ることができない情報を話していただきました。第二部では、長濱拓磨氏(日本語学科准教授)、下村喜八氏(ドイツ語学科教授)、竹原庸喬氏(博士前期課程ヨーロッパ・ラテンアメリカ地域)、栗山牧子氏(博士前期課程ヨーロッパ・ラテンアメリカ地域)の各氏が、『アンネの日記』との関わりを中心に意見発表をおこないました。次いで第三部に移り、コーディネータの元山千歳氏(英米語学科教授)と司会の中西久実子氏(日本語学科准教授)を加え、参加者30人を含め全員での討論をおこないました。軽妙に語られる深刻な主題について、参加者それぞれの考えを自分の言葉で語るなど、初めての「読書会」でしたが、開催趣旨は十分に達成できたと思われます。参加した学生の一人は「『乙女の密告』と『アンネの日記』をもう一度読み直し、あらためて自分を探してみたいと思いました」と話してくれました。
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