2017年よりアメリカ地中海文化圏研究の一環として、ニカラグア共和国カリブ地域の考古学調査を開始しました。岩刻画を研究テーマの一つに据え、河川を通じた「水上交流」の研究から、先スペイン期の先住民文化に迫ろうとしています。これまでに、ニカラグア南北カリブ自治地域の複数の地域で、踏査や地域事情調査を実施しました。

ニカラグアカリブ地域の主な調査地
南カリブ自治地域ムエジェ・デ・ロス・ブエジェス市にあるソンブレロ・ネグロ遺跡の踏査を、ブルーフィールズ市にあるブルーフィールズインディアンカリビアン大学(BICU)付属研究所(CIDCA)の協力の下で実施しました。川の近くに岩刻画や小型のマウンドが存在することが分かっており、埋葬遺構も確認されています。また、ソンブレロ・ネグロ遺跡で出土した土器の分析も行いました。
2019年3月に、北カリブ自治地域プエルト・カベサス市周辺で地域事情調査を行いました。ニカラグアカリブ自治大学(URACCAN)ビルウィ校や複数の先住民村落を訪問し、考古学や先住民文化に関する聞き取り調査を行いました。また、URACCANやCIDCAに収蔵されている石彫や土器、石器などの遺物も分析しました。
同年7月には、北カリブ自治地域ロシータ市にあるラ・フロリダ遺跡の踏査を実施し、岩刻画や土器の破片を確認しました。表面採集した遺物に加え、URACCANロシータ校と市内小学校に収蔵されていた土器や石器などの分析を行いました。
北カリブ自治地域シウナ市周辺で岩刻画の分布調査を、URACCANラス・ミナス校の協力の下で実施しました。調査の結果、岩刻画の分布は河川の近くか、丘陵上のいずれかに分かれることが明らかになりました。また、渦巻やトカゲのような動物など様々なモチーフが岩刻画として岩に刻まれていることも分かりました。考古学調査と並行して、先住民マヤングナの村シキルタを訪問し、歴史や文化に関する聞き取り調査も実施しました。

渦巻文様の岩刻画

シキルタ村訪問
2022年8月~9月、約2年半ぶりに中米で現状確認調査を実施しました。詳細は、「中米太平洋岸地域プロジェクト」を参照ください。
2023年度は、中米カリブ海域プロジェクトによる調査は実施していない。
「ニカラグアのカリブ海側における岩刻画の考古学調査およびコミュニティ・ミュージアム活動に向けた研究」
深谷 岬、南 博史、嘉幡 茂、川嶋 まどか
京都外国語大学ラテンアメリカ研究所「紀要」21号(2020年12月発行)
今後は、北カリブ自治地域シウナ市周辺での岩刻画の詳細な分布調査や、南カリブ自治地域のソンブレロ・ネグロ遺跡での発掘調査など、本格的な考古学調査を開始していきます。また、考古学研究の成果を先住民村落に還元するための博物館学的活動の方法についても探求していきます。
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