2019/10/01 17:20:00 第42回国際文化資料館研究会・合同報告会
資料館研究会
宮田
皆さんこんにちは。秋が待ち遠しすぎて夏服をほとんどしまい込み、ちょっぴり後悔している中米考古学研究会の宮田です。
まだまだ昼間は暑いですが、いかがお過ごしでしょうか?
今日は、先日9月30日に行われました、第42回国際文化資料館研究会合同報告会についてご報告させていただきます。
【イスラーム文化研究会】
タイトル:「ウズベキスタン、ヒヴァでの夏期調査報告」
発表者:松本拓也(国際文化資料館)
【中米考古学研究会】
タイトル:「国際文化資料館所蔵ナマズのミイラの同定結果」
発表者:宮田怜奈(国際文化資料館)
今回の研究会では、イスラーム文化研究会の松本さんから「ウズベキスタン、ヒヴァでの夏期調査報告」について、中米考古学研究会は私から「国際文化資料館所蔵ナマズのミイラの同定結果」についてご報告させて頂きました。
今夏、ウズベキスタンの世界遺産であるヒヴァに調査に行かれた松本さんは、保護対象になっている町を訪れ、塩基(えんき)による侵食被害や、町の様子について調査をされたそうです。
「塩基による侵食」とは、建築に使用されている日干しレンガが地下水を吸い上げ、その吸い上げた水が蒸発することによって地下水に含まれる「塩基」がレンガや壁、扉の表面に白く残る現象を指すそうです。「塩基」と聞くと普段調味料として使っている塩をイメージしますが、調査にご協力頂いている他大学の先生によると、舐めるとほのかにしょっぱいそうです。
また、塩基による建物の侵食は直接的にはあまり住民に被害を与えないそうです。しかし、専門の先生によると、塩基はカルシウムイオンと硫酸イオンによって生成されるもので、たとえ水分が蒸発してもカルシウムイオンだけでは白く残らないそうです。つまり、ヒヴァの町にはどこからか硫酸イオンが紛れ込んでいるのです。
硫酸イオンは農作用の肥料やコウモリのフン、あるいは洗剤等を含んだ生活雑排水などに含まれ、今後観光客の増加に伴い生活雑排水が増えた場合、塩基の侵食が進んでしまう可能性が大いにあるそうです。
今後は、ヒヴァの町の地形の精密測量や温湿度のデータ収集、町に複数ある井戸の水位調査を行うそうです。
一方私は、9月に外部の博物館の先生方にお願いをしていた国際文化資料館が所蔵しているナマズのミイラの同定結果と、同定された種について発表させていただきました。
4月からこの「ナマズのミイラ」について調査を進めていく中で、生前一体どんなナマズだったのかがずっと気になっていたのですが、この度、お忙しい中ご協力くださった先生方のお陰で、ナマズ目ギギ科のBagrus Bajadという種であるという事が判明しました!つまり、ナマズのミイラではあるけれども、厳密に言うならば「ギギのミイラ」だったようです。
このナマズ目ギギ科のBagrus Bajadという魚は、主にアフリカに生息している肉食の淡水魚で、成魚になると体長約50cm、重さは約6.9kg程にまで成長するようです。平均寿命は8年程とされていますが、記録にはなんと体長112cm、重さ12kgほどの個体が捕獲された、という記録が残っているので、もっと長寿の個体もいるのかも知れません。資料館で収蔵しているミイラは巻いている布も含めて体長24.4cmなので、まだ子供のギギをミイラにしたのかも知れませんね。
日本に生息するギギ種のナマズもいるのですが、こちらはアフリカのものよりも小さな種類になります。また、ギギは食べる事ができる魚なので、もしかしたらこれを読んでくださっている方の中にも、ギギを食べた事がある方もいらっしゃるかも知れません。
また、今回同定された「ギギ」は「ナマズ」とヒゲの数や背びれの形の違いなど、大きく違う点がいくつかあります。しかし、最も大きな違いは背びれの形と毒の有無です。多くのナマズは背びれが退化していますが、ギギは発達した背びれを持ち、さらには背びれと腹ビレに毒針まで持っています。
ギギの毒は死に至るほど強力ではありませんが、最悪の場合、数日間腫れ上がってしまう事もあるそうです。そして、個人的に最も心惹かれたナマズとギギの相違点は、ギギはナマズと違い「鳴く」という点です。多くの魚は声帯を持たず、声を出すことはありません。もちろんギギにも声帯は無いのですが、胸ビレの関節同士を擦り合わせて、まさに「ギギギ」という音を発します。ちょうど蝉や鈴虫が羽を震わせて鳴くのに似ていますね。ちなみに一説によると、この「ギギ」という名前も鳴き声に由来しているそうです。ギギの鳴き声が気になる方は、滋賀県の琵琶湖博物館に日本に生息しているギギの生体展示があるそうなので、是非ギギたちの声を聴きに行ってみてください!
今回の報告会は調査結果の報告がメインとなりました。次回の報告会では、今回発表がなかった越前フィールドワークミュージアム研究会さんからの発表が予定されています。
次回の第43回国際文化資料館研究会合同報告会は以下の日程で開催予定です。
開催日が近づきましたら、国際文化資料館Facebookからも詳細をお知らせいたします。
日時:10月28日(月)
15:40〜17:20(4限目)
会場:未定
※研究会に所属していなくても報告会には参加できますので、お気軽にお越しください。
まだまだ昼間は暑いですが、いかがお過ごしでしょうか?
今日は、先日9月30日に行われました、第42回国際文化資料館研究会合同報告会についてご報告させていただきます。
【イスラーム文化研究会】
タイトル:「ウズベキスタン、ヒヴァでの夏期調査報告」
発表者:松本拓也(国際文化資料館)
【中米考古学研究会】
タイトル:「国際文化資料館所蔵ナマズのミイラの同定結果」
発表者:宮田怜奈(国際文化資料館)
今回の研究会では、イスラーム文化研究会の松本さんから「ウズベキスタン、ヒヴァでの夏期調査報告」について、中米考古学研究会は私から「国際文化資料館所蔵ナマズのミイラの同定結果」についてご報告させて頂きました。
今夏、ウズベキスタンの世界遺産であるヒヴァに調査に行かれた松本さんは、保護対象になっている町を訪れ、塩基(えんき)による侵食被害や、町の様子について調査をされたそうです。
「塩基による侵食」とは、建築に使用されている日干しレンガが地下水を吸い上げ、その吸い上げた水が蒸発することによって地下水に含まれる「塩基」がレンガや壁、扉の表面に白く残る現象を指すそうです。「塩基」と聞くと普段調味料として使っている塩をイメージしますが、調査にご協力頂いている他大学の先生によると、舐めるとほのかにしょっぱいそうです。
また、塩基による建物の侵食は直接的にはあまり住民に被害を与えないそうです。しかし、専門の先生によると、塩基はカルシウムイオンと硫酸イオンによって生成されるもので、たとえ水分が蒸発してもカルシウムイオンだけでは白く残らないそうです。つまり、ヒヴァの町にはどこからか硫酸イオンが紛れ込んでいるのです。
硫酸イオンは農作用の肥料やコウモリのフン、あるいは洗剤等を含んだ生活雑排水などに含まれ、今後観光客の増加に伴い生活雑排水が増えた場合、塩基の侵食が進んでしまう可能性が大いにあるそうです。
今後は、ヒヴァの町の地形の精密測量や温湿度のデータ収集、町に複数ある井戸の水位調査を行うそうです。
一方私は、9月に外部の博物館の先生方にお願いをしていた国際文化資料館が所蔵しているナマズのミイラの同定結果と、同定された種について発表させていただきました。
4月からこの「ナマズのミイラ」について調査を進めていく中で、生前一体どんなナマズだったのかがずっと気になっていたのですが、この度、お忙しい中ご協力くださった先生方のお陰で、ナマズ目ギギ科のBagrus Bajadという種であるという事が判明しました!つまり、ナマズのミイラではあるけれども、厳密に言うならば「ギギのミイラ」だったようです。
このナマズ目ギギ科のBagrus Bajadという魚は、主にアフリカに生息している肉食の淡水魚で、成魚になると体長約50cm、重さは約6.9kg程にまで成長するようです。平均寿命は8年程とされていますが、記録にはなんと体長112cm、重さ12kgほどの個体が捕獲された、という記録が残っているので、もっと長寿の個体もいるのかも知れません。資料館で収蔵しているミイラは巻いている布も含めて体長24.4cmなので、まだ子供のギギをミイラにしたのかも知れませんね。
日本に生息するギギ種のナマズもいるのですが、こちらはアフリカのものよりも小さな種類になります。また、ギギは食べる事ができる魚なので、もしかしたらこれを読んでくださっている方の中にも、ギギを食べた事がある方もいらっしゃるかも知れません。
また、今回同定された「ギギ」は「ナマズ」とヒゲの数や背びれの形の違いなど、大きく違う点がいくつかあります。しかし、最も大きな違いは背びれの形と毒の有無です。多くのナマズは背びれが退化していますが、ギギは発達した背びれを持ち、さらには背びれと腹ビレに毒針まで持っています。
ギギの毒は死に至るほど強力ではありませんが、最悪の場合、数日間腫れ上がってしまう事もあるそうです。そして、個人的に最も心惹かれたナマズとギギの相違点は、ギギはナマズと違い「鳴く」という点です。多くの魚は声帯を持たず、声を出すことはありません。もちろんギギにも声帯は無いのですが、胸ビレの関節同士を擦り合わせて、まさに「ギギギ」という音を発します。ちょうど蝉や鈴虫が羽を震わせて鳴くのに似ていますね。ちなみに一説によると、この「ギギ」という名前も鳴き声に由来しているそうです。ギギの鳴き声が気になる方は、滋賀県の琵琶湖博物館に日本に生息しているギギの生体展示があるそうなので、是非ギギたちの声を聴きに行ってみてください!
今回の報告会は調査結果の報告がメインとなりました。次回の報告会では、今回発表がなかった越前フィールドワークミュージアム研究会さんからの発表が予定されています。
次回の第43回国際文化資料館研究会合同報告会は以下の日程で開催予定です。
開催日が近づきましたら、国際文化資料館Facebookからも詳細をお知らせいたします。
日時:10月28日(月)
15:40〜17:20(4限目)
会場:未定
※研究会に所属していなくても報告会には参加できますので、お気軽にお越しください。
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ヒヴァでの調査報告をしてくださる松本さん。この写真は南側の城壁だそうです。
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ナマズとギギの違いについて。皆さんは見分けることが出来ますでしょうか?






