ページの先頭です。ページの本文へ

図書館ブログ RSS

Profile
京都外国語大学付属図書館の公式ブログです♪

イベントのお知らせや図書館報「GAIDAI BIBLIOTHECA」の記事まで、こちらのブログにて紹介しています。

また付属図書館HPでは、開館予定や蔵書検索はもちろん、電子ジャーナル・電子書籍の貸出しや、本の予約など、さまざまな図書館のコンテンツを紹介しています。
是非こちらもチェックしてみてください!

【HP】
/toshokan/

また、図書館ではInstagramでイベントや学生の活動、日々の情報などを発信してます。
こちらもチェックくてみてください!

【Instagram】
https://www.instagram.com/library_kufs/

GAIDAI BIBLIOTHECA

2023/09/27 09:50:00 トランスジェンダーとして生きるとは【全文】vol.2

  • CategoryGAIDAI BIBLIOTHECA
  • Posted by付属図書館
2023年9月に発行したGAIDAI BIBLIOTHECA(館報)で、「特集:ジェンダーを考える」に掲載された、本学の卒業生である松本友生さんへのインタビューの全文vol.2です。



榎本:学生時代に留学に行かれたと聞いてるのですが、留学先の国を選んだ理由、留学中のエピソードというのも、お聞かせください。
松本:もともとは旅行で、NYで仕事をしている知り合いがいて、「英語勉強してるんだったら遊びにおいでよ」って声かけてもらって2週間ぐらい遊びに行きました。印象としては、いろんな人種の人がいて、文化も入り混じっていて、たった2週間いただけでも、キラキラしていて楽しそうで、友達作りしながら、英語を勉強したいなと、座って勉強というより、コミュニケーション取って、もっとしゃべれるようになりたいという思いが芽生えました。
榎本:旅行中に留学を決めたんですね。
松本:家帰ったら、親に話をして、外大は1年休学校して、NYの語学学校に行きました。自分で手続きして、学校や家や何か見て、学生ビザを取得して。1年2カ月とか、ぎりぎりまで行ってました。
榎本:その留学中にいろいろあったと思いますが、お話を聞かせてください。
松本:現地の人とルームシェアみたいなかたちで、暮らすようになって。そこでルームメイトや、周りの友達を家に呼んで、みんなで遊んだりしていて、その中にたまたまゲイの方がいました。最初全然知らなくて、ある日「パートナーを連れてくるけどいい?」と、ルームメイトに聞いていて。本当に自然な会話で、その後、カップルで遊びに来て、みんな普通にごく自然にいるんです。別にそこがLGBTのコミュニティってわけではなく、自然に遊んで、話をして、何の特別もない。
榎本:普通に一緒にいたんですね。何の違和感もなく。
松本:そうです。そこから、LGBTのことを調べたり、同性カップル、同性愛、LGBT、というワードをたくさん検索して、NYにもそういう人が集まる場所、施設とかあるかなと、いろいろ調べていたら、友達が「一度一緒にコミュニティへ行く?」と、カフェへ連れて行ってくれて。ここはそういうエリアだから、ほかのカフェにも友達探してるんだったら沢山いるよと教えてくれて、それから僕1人でどんな雰囲気だろうって興味を持って、行くようになりました。歩いてると自然に同性同士のカップルだったり、そういう人がいっぱい歩いていて、その人たちだけがいるわけではないし、街の中にエリアとしてはあるけど、区切られてるわけでもない、そういうエリアがあるっていうことを知りました。
榎本:それまで日本でLGBTについて検索してみたり、調べたりしましたか?
松本:ほとんどしてなかったですね。
榎本:環境が変わったから、わあっと扉が開いたんですね。すごいきっかけですね。
松本:そういうのがきっかけで、日本の大学の友達に電話で、実は友達がゲイで、そういうエリアに最近よく行ってると話せるようになって。その子が、今、『ラスト・フレンズ』というドラマが日本で放送されていて、上野樹里が演じているの役の子があなたと同じような感じだよ、見てみたら?と言われて、ネットで調べたらトランスジェンダーと出てきたんです。そういう会話から自分からいろいろ言えるきっかけを作れました。
榎本:NYで気持ちが柔らかくなって、それで日本の友人にも電話でそういう話ができたんですね。そこから、LGBTの中のカテゴリーについてもちょっと調べだしたんですね。
松本:そうです。僕も無知で、そのあたりからこれは違うかな、これかなとか。ある日ルームメイトにパーティーに誘われて。パーティードレスみたいなのをいろいろみんなが選んでいて。で、僕はそういうの着たくない。そしたら、ルームメイトが「あ、OK」と言って、部屋で、パンツスタイルの服を出してきてくれて。どれが似合うかなと選んでくれて。僕、そのときに「嫌」って言えたから、友人が自然に一緒に考えてくれたんです。
榎本:感動しますね。
松本:嫌って言えるんだ、それを言ってもじゃあ次これは?って、選択肢を出してくれたことに安心しました。パーティー行けるなと思ったんです。行ってもいいんだと。こういうの似合うかもとか、これ素敵だねとか、そういう事を言える関係ができて、そういう素直な気持ちを言えたり一緒に考えてくれるっていうのがすごい心地よくて、それからはルームメイトにもナチュラルにいろんな話ができるようになりました。
榎本:ルームメイトの存在は大きかったですね。
松本:大きかったです。言語は壁じゃないと思ったし、コミュニケーションでそうやって日本では言えなかったことを導いてくれたような気もしています。
榎本:では、LGBTについてある程度調べ始めて、自分がその中のどのカテゴリーに属するのか知った経緯をお伺いできればと思うのですが。
松本:知った経緯は、帰国して実際にそのドラマを見たりして、でも自分の性自認というより、性的嗜好、同性が好きというのは、もう多分絶対そうだって。
榎本:そこはわかりやすかったんですね。
松本:そこはわかりやすかったです。ずっと中学生ぐらいから、それを隠してきたし、今でも思うということはそうなんだと、それを大学の友達にオープンにしました。
榎本:大学の友達にはちゃんとカミングアウトできてたんですね。
松本:向こうでの環境とかを話してたので、実は同性が好きかもと思ったと。それで家族に話すか悩んでたときに、マイノリティの研究をしている先生のゼミを取っていて、LGBTのことではなく、文化の中のマイノリティとか言語の中のマイノリティとか、何かそういうマイノリティに関することを教えられていて、LGBTはマイノリティだという認識はあったので、先生に一度相談してみようかなと。この人だったら話せるかもって、初めて身近な大人で相談できそうだと思いました。ある程度の距離もあったし、家族や友達ほど近くない。
榎本:ちょうどいい距離感だったんですね。
松本:ちょっと相談乗ってほしいとお願いし、2人で話す時間を作ってくれました。
実は留学中に女の人が好きだとわかり、友人には話せたけれど、次、親にどう話せばいいか、どう思いますかと。先生は「同性を好きなことは全然変じゃない、そもそも好きになるという感情があることがうらやましい」と言ってくれました。先生が断言してくれたので、そう言ってくれる大人がいるんだと安心しました。
そこから自分のLGBTカテゴリーを調べ始めて。LGBTのLのほうから、僕、レズビアンなのか?みたいなところで一度立ち止まって調べて、そのコミュニティのオフ会行ったのですが、すごく居心地が悪くって、僕は。
榎本:レズビアンではないと。
松本:そう。それを肌で感じたというか、僕の居場所じゃないと。レズビアンじゃなかったら何なんだろうと、自分は女として女が好きなわけじゃないってなって、いろいろ調べて、ドラマも参考にして、トランスジェンダーにたどり着きました。
榎本:自分で一から調べて、トランスジェンダーということがわかったってことですね。
松本:はい。ほぼ、ネットですね。インターネットで調べたりして、体験談とかを見て。全く一緒ってわけじゃないけど、ここ似てるなとか。
榎本:そのカテゴリーとわかったあとのアクションはどうされましたか。
松本:まず体が嫌だったので、トランスジェンダーの人が着けている下着っていうのがあって、胸をきゅっと締める、それを身につけるようになり、それで楽になりました。それがあるだけで本当に楽で、好きな服が着れました。でもお風呂に入ると、何か自分じゃない姿にまずなるみたいな感覚で自分が嫌になる。これは何とならないのかとも思っていました。
榎本:最初は下着で問題ないと思っておられたんですね?その後、性別適合手術を行われたということですけれども、その繰り返しでそうなったのか、それ以外に何かきっかけがあったのか。
松本:つき合っていたパートナーが、「トランスジェンダーで手術までしてる人が知り合いにいるよ」と教えてくれて、じゃあ、ぜひ会わせてほしいとなり。
榎本:その方に具体的な手術の過程を聞けたんですね。
松本:しっかり聞いて、まず安心しました。そういう人生があるということに。何か、仲間を見つけた。これは自分が目指す姿かもと、希望が持てて、その人と会えて凄く嬉しかったのを覚えています。
榎本:二つ目の大きな扉ですね。
松本:そうですね。この人だけじゃなくて、きっと他に近くにいるんだと、トランスジェンダーの集まりに行きました。実際に手術された方、ホルモンの注射を打っている方いっぱいいて、本当にノート持ってインタビューじゃないけど、今の生活で困ってることないですか、周りの関係どうですか、仕事できてますか、不安はありませんかとか。本当に事細かく日常生活の困り事から、あらゆる事をちゃんと調べようと思いました。でもトランスジェンダーと言っても本当にばらばらで、手術を望んでる人もいれば、ホルモンの注射だけでいいという人もいるし、下着だけで十分楽っていう人もいて、そういう感覚まで違うんだとわかりました。絶対こうだから手術しないといけないとか、性別を変えないといけないというわけではないんだと思い、自分はどういうふうに生きたいのかを考えるようになりました。
まずはカウンセリングに行って、医師に相談したいと思うようになり、親にも言えてなかったので、それをきっかけに、実はこういうことで悩んでいて、女性が好きで、カウンセリングに行ってみたいと初めて言いました。
榎本:カウンセリング行く前にご両親にカミングアウトをされたんですね。
松本:はい。まず相談しようと思って。親の反応は「わからへんから病院で診てもらえるなら行っておいで」と、「私たちは悩み事に応えてあげれない」と言われて。でもその中でも親に言えたってことにすごいほっとしました。
榎本:そうですね。
松本:親は凄く泣くのかなとか、何か言われるかなと想像していたのですが、親はわからないって(笑)。「否定も肯定もできない。わからないから、答えを出してあげられないから、病院の先生に聞いてみたらいい」と。じゃあ病院に行こうとカウンセリングに通い始めました。
榎本:このあとに手術をされて、その後ご結婚されたとお伺いしていますが、手術は結婚と結びつかれたものがあるのでしょうか。
松本:結婚したいから戸籍を変えるというイメージではなくて、結婚という未来もあるけど、まず僕は自分のことを知って、自分の人生がわかる状態まで持ってきたので、それから結婚の話でした。相手は結婚をしたいと思ってくれていて、僕がどういう状況になるかわからないけれど、それを支えると言ってくれて。カウンセリングからホルモン注射、手術、戸籍変更まで、時間はかかりました。
榎本:そうですよね。かなり大きな決断ですからね。
松本:そうですね。相手が待ってくれていたので、ちゃんと向き合って結婚できるように僕自身も自分がどうしたいかっていうのを考えました。やっぱり体が嫌だというのはあったので、とにかく上は取りますと自分の中では決め、プラス、戸籍変更をする要件に、子宮摘出が入っていたので、自然に受け入れられました。
榎本:そのほうが自分の中では自然という感覚だったのでしょうか?
松本:そうです。ないほうがいい。だから、じゃあ取ろうっていう(笑)取ってもらえるのであれば取ってもらいたいなと、手術はもう自然でした。戸籍も変わるし、じゃあ結婚できるんだと。
榎本:ご自身の望みで。パートナーの思いとかいうわけでは決してなくて。
松本:そうです。僕は僕の意思でそうしたほうが気持ちが楽で、生きやすい。
榎本:どうですか?今、本当に生きやすくなりました?
松本:すごく生きやすいというか、自然っていうのが一番しっくりくるかなって。
榎本:これでやっと自然な自分になった感じ。
松本:そうです。
榎本:すごい、何かすてきな話聞けたなと思って、私じーんとしてるんですけど。
松本:(笑)

2023/09/27 09:50:00 トランスジェンダーとして生きるとは【全文】vol.1

  • CategoryGAIDAI BIBLIOTHECA
  • Posted by付属図書館
2023年9月に発行したGAIDAI BIBLIOTHECA(館報)で、「特集:ジェンダーを考える」に掲載された、本学の卒業生である松本友生さんへのインタビューの全文です。インタビューは90分に渡り、館報では全ての内容を掲載できなかったため、こちらの図書館ブログに数回に分けて紹介いたします。



松本友生さんは幼い頃に性の違和感を持ち、大学生時代に留学先のNYでLGBTQ+の人たちが自由に生きる姿を見て、自身がトランスジェンダーということを知る。両親などにカミングアウトを行い、性別適合手術を終え、現在は戸籍を変更し男性として活動している。
(聞き手:図書館職員 榎本恭子)

榎本:本日はよろしくお願いします。最後には、本学の学生におすすめの本などあれば、教えていただければなと思います。
松本:よろしくお願いします。
榎本:まず、幼い頃のことを教えていただきたいのですが、小学校、中学校、高校において集団生活の中で苦労されたこと、辛かったこと、困ったことなどありましたか?
松本:やはり親や友達に話せない、相談のきっかけも見つけられなかったことは辛かったです。自分がどういう人か、何にカテゴライズされてるかということにも気づかなかったし、そもそもこういうことで悩んでるのは自分だけかなあという事が大きな悩みでした。どこへ行っても男女という区別をされている、そういう環境が自然で、性別を基準にした大人の発言には敏感で、ずっと違和感があって、男や女だからとか何でそういうところに基準を置いて大人は自分のことを見ていのるんだろう、そこに違和感や疑問がずっとありました。
日常生活の中では女の子らしい「ピンクのほうがいいよ?」とか、車を欲しがると、「それでいいの?」って、断固やめなさいとは言われないけど、「女の子やし、こっちのほうがいいんちゃう?」とか、毎回毎回、自然な会話の中で入ってくる。兄は何も言われてないのに、やっぱり僕だけ、プラモデル欲しいとかミニ四駆欲しいとか言うと、「お兄ちゃんが欲しいやつを取らない」と言われたりして、自然と欲しいと言えなくなっていきました。それが小学生ぐらいです。
榎本:色など些細なところでつまずいていたんですね。
松本:そうですね。それを親に言えないから、誰に言えばいいんだろうと思っていました。親が言っていることは正しと僕は思っていたし、親のためにという思いが、自分の中にずっとあって、親がこうやったら喜ぶとか、こうしたら困るんだとか反応を見ていました。なので、本当に自分が欲しいものは諦めていく。そして、この先もきっと諦めないといけないという気持ちが、小学生ぐらいのときにはもう既にありました。そういう不満は、僕は性格的に言えなくて、自分を抑えるほうが楽だと感じるようになっていきました。中学校になると、周りの子との自分の違いに、どんどん気づくようになっていきました。友達同士で恋愛の話や、成長期に体が変わっていく段階で、そろそろ下着つけなきゃと言われて、友達が親に「この子のも買ってあげて」と言ったんです。僕はつけたくないけど、それも言えなくて。その後、親と下着売り場に行くと、もう本当にしんどくなるぐらい、そこにいるのが自分のことじゃないみたいでした。
榎本:その頃には、もうある程度はっきりわかっていたのでしょうか。
松本:体が、変わっていくことが怖くて不安で。女性の体に変わっていくのが自覚できなかった。本当にどんどん変わるんだという感覚。
下着は親に選んでもらって、あんまり目立たないものなら何でもいいみたいな感じで。親は親で、きっと恥ずかしいのかなとか、というふうに多分見ていたのかなと思うんです。でも僕は、ただ本当に嫌。「嫌」ということを伝えられなかったのが中学校の大きな悩み事でした。
榎本:なるほど。両親は、全然わかっていなかったんですね。
松本:全然です。僕自身も発信できてなかったと思う。何で嫌なのかとか自分もわからなかった。
榎本:高校生になると、また意識が変わってくるかなと思うのですが、いかがでしょうか。
松本:中学校のときに、もう既にセーラー服を着ていたので、下着と同じ、嫌だけど、こうなっていくんだってあきらめていました。 周りの友人からは好きな人いるの?とか、誰とつき合いたい?とか、恋愛になる。芸能人で男の人を、こういう感じの人かなあみたいに言ってたけど、本心は違い、同性を好きだなっていう感覚はあって。でも、周りがつき合ったりするようになり始めて、僕もすごく仲がよかった男の子と「つき合おうよ」みたいな感じで、つき合うことになったんですけど、でもやっぱり手をつなぐとか嫌で、触られることが嫌だった。
触られても、ばって拒否してしまい「え、何で?」って言われても、嫌で。
「好きやったらええやん」とも言われたんですけど、やっぱりそういう好きじゃないと気づいて、僕はつき合えない、ごめんなさいって言いました。
榎本:はっきり伝えたんですね。
松本:彼には何でも話せる間柄だったので、この人なら言ってみてもいいのかなって、その流れで「実は女の子に興味がある、誰にも言ってないけど」みたいな感じで言いました。
榎本:本当に最初のカミングアウトですね。
松本:そうですね。そしたら、反応としては、拒絶され、気持ち悪いと言われて。
榎本:ああ。その一言ですね。
松本:そう言われるかなと思ったけど、いろいろ話せる人だったし、こういうきっかけで言えるタイミングだった。
榎本:今だって感じですね。
松本:そう。それ以外は、やっぱり同性の友達には言えないし、それこそ気持ち悪いって思われるかなと思っていたから、逆に言いやすかったのがその人で、言ったけど、感覚的には同性に言うのと一緒で「気持ち悪い、ちょっと嫌や、もう聞きたくない」と言われて。
そもそも、つき合ってたのに別れようって言ったのは僕だし、そのうえ、女性が好きとか言われたら、もし自分が相手の立場だったら確かにやめてほしいって思いますよね(笑)
榎本:そうですね。向こうは本当にショックを受けてるときに、突然カミングアウトですからね。
松本:そんな話、聞きたくないって言われました。「気持ちが悪い」とか、「おまえ、やめとけそれは」っていうふうに言われて、そっか、そう思うのはおかしのかなっていう気持ちが残ったまま、マイナスな答えが返ってくることを確認したんです。同性が好きというのは、思い描いてるだけで、妄想の世界、空想の世界で思い描いて、それで終わる。本当の自分がどう思ってたとしても、そこは嘘をつくというか、隠す。男性とそのうち恋愛をして、結婚してっていう未来があるんだという事もどこかで思い描きながら、今の自分には嘘をついてるほうが楽だという気持ちで高校時代は過ごしてました。
榎本:さらにクローゼットになってしまったという感じですね。
松本:そうですね。友達に嘘つくよりも、自分に嘘ついてるほうが楽と思ったから、自分を変えていけばいいと、思うようになっていく。意見もどんどん発せなくなったり、自分自身に興味も持たなくなっていくようになりました。正直な自分のままだったら、きっと発言もできたし、自分に興味があるものも気づけたけど、人に合わせていくうちに自分が何を考えてるかもわからなくなる状況がずっと無意識にありました。人の話は恋愛の話も聞くけど、自分の話はできなかったというのが高校時代です。
榎本:周りからそうさせられていたというか、誰も小さなサインに気づいていないというところも、本当に悲しいですね。
松本:環境は確かにそうでした。高校に進学するときに、もう一度、制服が嫌と言ってみようかとか、何かアプローチはできたのにな、とかも思うけど、嘘をつくほうが楽だとか、傷つきたくないから、そういうふうに自然になっていったという記憶があります。
榎本:高校のときに進学を考えられたと思うのですが、友生さんは本学の英米語学科に進学されたと聞いています、京都外国語大学を、その中でも英米語学科を選ばれた理由を、お伺いできますか?
松本:高校時代から英語が好きで、洋楽を聞いたり、洋画を見たりとか、洋画を見て英語を話せるようになりたいなと思い、オープンキャンパスに来て、実際に学生さんや先生と話をして、英語を自然に話している姿を見て、凄いなと思って、日本でもこんなふうになれるんだと、それで決めました。
榎本:じゃあ、オープンキャンパスが決め手だったんですね。
松本:大きかったですね。実際に見て、授業の雰囲気というよりも先生と学生の距離感みたいなのが魅力的で楽しそうで。先生と距離が近そうだと思いました。
榎本:大学時代と高校時代との大きな違いなどはありましたか?
松本:大学生で一人暮らしを始めたんですけど、それが僕にとってすごい転機で、ジェンダーにかかわることなんですけど、家族で住んでいたら、妹の前では姉という姿であらなければいけないとか、兄の前では妹、女の子をしないといけないみたいな環境があって、そこから開放されて、自分だけの空間の中で、「姉・妹・娘」をしなくていいという環境が僕にとってすごく楽で、あ、自分だって。
榎本:女性じゃなくてもよくなったったということですね。
松本:そう。暮らしてる社会もそうですが、家族の中でも僕はすごい苦痛で、短髪で結構ボーイッシュな感だけど、姉です、妹ですみたいな感じで、親の前でも娘としていないといけないというのがどこかにあって、それが物理的に離れたことで、すごく自然でいられた。制服もなくなったので、自分の好きな服を着れる、好きな髪型でいれる。身に着けるものも、親にいちいち見られない。そういう環境で、僕はちょっとずつ自分に興味を持ち始めた。自分はこういうものが好きなんだとか、英語が好きというのも、もっと自分で生かせるように勉強したいと思いました。
榎本:例えば、そのときに友人にカミングアウトするようなことは、なかったのでしょうか?
松本:そのタイミングではなかったです。きっかけはなかったです。

Page top