本書は1842年にパリで発行されたラス・カーズ(LAS CASES, Emmanuel-Auguste-Dieudonné, comte de)による『セント・ヘレナ覚書』(Mémorial de Sainte-Hélène)を前田長太が日本語に翻訳したものである。
前田長太は新潟新発田近在の出身でキリスト教カトリックの司祭である。フランス語に長じ、これを生かした執筆活動を行って多くの論文や著作を残した。結婚して司祭を離れると、明治四十二(1909)年に外務省翻訳官となり、さらに大正五年(1916)年には慶應義塾大学の教授に就任している。雅号「越嶺」を名乗った本書は外務省に勤務していた明治四十五(1912)年に刊行したものである。なお、原著は2巻から成るもので、著者のラス・カーズはナポレオンの終焉の地セント・ヘレナ島で彼を看取った側近の一人である。こうしたことから、回想録や伝記の中でも信憑性が高いとされ「ナポレオン伝説の福音書」と言われている。
(23×16cm)
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