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7 日本で初めての独立したナポレオン伝記か

著者不明

『那波列翁一代記(Napoleon ichidaiki)』

全二巻 嘉永七(1854)年

 本書は木版印刷によるナポレオンの伝記である。ただ、著者や編者、また原著や出版地などは記述されていない。書名についても表紙の題簽書名が『那波列翁一代記』であるにも拘わらず、標題紙上には『佛蘭西偽帝那波列翁一代記』と記されている。上巻の巻頭には漢詩人で儒学者である頼山陽(1780-1832)が出島のオランダ人医師から得た情報をもとに作ったとされる漢詩『佛郎王歌』が掲げられ、本書への導入を容易にしている。本書の成立前の弘化三(1846)年から弘化四(1847)年に箕作省吾による『坤輿図識補』が刊行されており、同書の「ナポレオン伝」や世界情報を参考にして書かれたナポレオンに関する初めての独立本と見做されている。なお、刊行された嘉永七年はペリー提督との間で日米和親条約が結ばれた年で、十一月に改元されて安政元年となり、こうした海外情報が幕閣や研究者の間で重視されるようになった時節であった。
                            (26×18cm×2 vols.)

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