箕作省吾(1821-1847)は陸中水沢藩の武家に生まれ、江戸で坂野長安や箕作阮甫(1799-1863)の門下で蘭学を学び、阮甫に認められてその養子となった。本書は省吾が幾つかの蘭書を翻訳し、著述を加えながら弘化二(1845)年に完成させた世界地理書『坤輿図識』の内容を「補う」ために、肺の病と闘いながら完成させたものである。巻一は自然地理総説。巻二はアジアとアメリカの補遺でアヘン戦争やインドの動向、コロンビアやチリの独立、ワシントンの首都制定など。巻三はヨーロッパ誌で各国の軍事勢力があり、巻四にはアレクサンダー大王、アリストテレス、ピーター大帝、そしてフランスの皇帝ナポレオンの伝
記があり、この伝記集は義父の阮甫の訳稿であることが記されている。
巻一のみが弘化三(1846)年の刊行で、巻二から巻四までは弘化四(1847)年である。弘化年間に入ると外国船の来航が増え、弘化三年にはアメリカのヴッドル提督が浦賀へ投錨して江戸幕府に国交を求めるなど、外国の知識が必要な時代になっていた。なお、省吾はこの補巻の完成を目前に死去している。
(27×19cm×4 vols.)
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