著者ブーリエンヌ(1769-1834)はナポレオンの陸軍幼年学校時代からの友人であったが、卒業後は軍務につかず法律や外交の専門家となっていた。再会するとたちまちナポレオンから信頼を得て、エジプト遠征には個人秘書として同行したといわれている。後には、金融問題や私財蓄積の問題でナポレオンの不興を買って失脚するが、ナポレオンの死後本書を上梓して思い出を綴った。本書の中で、本人が随行したエジプト遠征についての記述は詳細であり、臨場感が漲っているとの定評がある。また、他の回想場面でも極めて身近な観点からナポレオンを捉えており、数ある同種本の中でも評価が高い。
本書は全10巻の初版本であるが、これをもとにフランス国内では何度も再版が繰り返されてきた。また、多くの言語に翻訳されており、日本でも大正九(1920)年に英文学者の栗原古城によって『奈翁実伝』として出版された。
(21×14cm×10 vols.)
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