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23 ロシアのゴロヴニン、日本で捕虜になってナポレオンのロシア遠征を知る

[ГОЛОВНИН, Василий Михайлович]

Записки флота капитана Гoловнина о пр иключеніяхъ его въ
плҍну у Японцевъ въ 1811, 1812 и 1813 годахъ

2 vols. Санктпетербургъ, 1816.

ゴロヴニン『日本幽囚記』

 ワシーリ・ミカイロヴィッチ・ゴロヴニン(Vasily Mikhailovich Golovnin, 1776-1831)はロシア海軍の提督である。イギリス海軍へ派遣され、英仏戦争でネルソン提督の指揮を学び、帰国後の1807年にはディアナ号の艦長として極東へ向かった。ナポレオン戦争の影響下、ケープタウン近くでイギリス海軍から臨検を受けながらも、漸くカムチャッカ半島のペトロパブロフスクへ入港した。ここを起点に北アメリカのシトカ島で海域調査を行い、1811(文化八)年からはクリル諸島(千島列島)を南下して択捉島までの地図を作製した。この作業の中、彼は国後島へ8人の部下と共に上陸して守備に就いていた南部藩士に捉えられ松前藩によって箱館で幽閉された。しかし、ディアナ号の副館長リコルドが拘束した高田屋嘉兵衛らとの交換により、ゴロヴニンは約2年3か月ぶりに釈放されて帰国した。
 本書はゴロヴニンの体験記であり、日本人の感受性や知性の高さを称え、勤勉さや愛国心を評価している。また、リコルド側との解放交渉出席者からの情報として、フランスがロシアに侵攻したがロシアが撃退したことを知ったなどと、ナポレオンのロシア侵攻を記している。
 なお、のちに徳川幕府は馬場佐十郎にオランダ語訳本からの日本語訳を命じたが、彼の死去に伴い、その門下によって1825(文政八)年に『遭厄日本紀事』として訳了した。
                            (27×21cm×2 vols.)

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