2024/07/10 13:30:00 2024年人権講演会報告
イベント
相方未来(京都外国語大学人権教育啓発室)
2024年人権講演会
「桂福点講演と創作落語の会 大笑いゼーションでノーマライゼーション~心の通訳で障がい者理解を~」報告
開催日時:2024年7月2日(火)18時~19時半@741教室
人権教育啓発室主催で落語家・桂福点氏をお招きし、講演と視覚障がいにまつわる創作落語を披露していただきました。イベントには、およそ50名の方々にご参加いただきました。
福点氏の創作落語を含めたご講演は、これぞエンターテインメントと思わずにはいられない、躍動感と感動とユーモアに溢れていました。特に印象に残った点をいくつか具体的に上げてみたいと思います。
講演の至る所で私たち来場者とコミュニケーションをとられていた点が印象に残っています。ご自身の芸名の由来(福団治師匠にとって10人目の弟子なので、福テン)を説明される際、学生の皆さんに自身が学んでいる言語で1から10までカウントアップするよう呼びかけられたり、実践されている音楽療法の説明では来場者全員と実際にリズムをとって、音楽がもたらす効果を体感できるようにしてくださいました。ご自身の歌声や縦笛の演奏を披露してくださる場面もあり、会場を一体化させるやり方に終始、心が躍りました。
福点氏自身の経験に裏打ちされた気づきに関するお話もとても印象的でした。福点氏は障がいへの無理解や差別によって周囲の人に傷つけられ、打ちひしがれていた時に、障がいを持ちながら懸命に生きる友人が歌う姿に感動し、力づけられたそうです。そして、力強いメッセージはその人自身の生き様から伝わるのだと感じたと話されました。
人権教育啓発室で働く以前、私は7年ほど、知的障がい者支援に携わりました。利用者の皆さんと時には感情の面で衝突したり、はしゃいだり、笑ったり、怒ったりしながら関係を築いてきました。ある日ふと、この人たちの存在が私をどれほど支えてくれていることか、と思う時がありました。利用者の皆さんの存在や彼女たちとのやり取りを通して、私自身もまた彼女たちにケアされ、力づけられていたのです。福点氏のエピソードを聞いて、そのような私自身の経験も思い出されました。
障がいに関しては、健常者として暮らす私たちの日常経験では計り知れないことが多々あります。福点氏によれば、「無視や無関心が一番あかん」。そして、一見、よく見える「ボランティア精神も質(たち)が悪い」。確かに。相手をよく知らないままで、先回りして行動すると、当人からすればありがた迷惑ですし、何より、相手に対して失礼だと思うのです。相手のことがわからないのなら、兎にも角にもコミュニケーションをとってみるしかない。あれこれと試行錯誤するうちに、分かり合うことができるのではないでしょうか。その瞬間が訪れた時、その人と本当の意味で知り合えたことになるのかもしれません。こうしたコミュニケーションの試みは障がいの有無に限らず、人間関係を作るうえで総じて重要なのだと思います。福点氏の講演では笑いと感動を交えて、人権の根幹ともいえる互いの存在を認め合う価値を伝えて頂けたと思います。






