HOME > 展示目録 > II. 日仏修好通商条約の締結後に刊行されたフランス人による書物(1900年まで)



BOUSQUET, George Hilaire
Le Japon de nos jours
2 vols. Paris, 1877.


ブスケ 『今日の日本』 全2巻

 著者ジョルジュ・ブスケ(1846-1937)はパリに生まれた法律家、行政官である。父親はパリ大学の教授なども務めた教育者であった。パリ大学法学部卒業後、1866年にパリ弁護士会に入会した。折しも勃発した普仏戦争に志願して参戦し、戦後、日本政府からの要請に応じて司法省顧問、並びに明治寮(後の司法省法学校)の法学教師として1872(明治五)年に来日した。遅れてフランスから招かれたボアソナードとは折り合いが悪く、結局ボアソナードが民法の編纂を担当し、ブスケは主に法学の教育面に力を注いで人材養成面から日本の近代化に大きく貢献した。1876(明治九)年に帰国してからは、フランス大蔵省の関税局長として日本酒の関税税率の引き下げなどに尽力した。また、第一次世界大戦に主計官として参戦し、高齢でありながらも愛国心を大いに示した。九十一歳でパリにて死去する。
 本書は、ブスケが帰国して一年後に刊行したものであるが、その内容は極めて詳細なもので、日本列島の地質構造から始まり、歴史、宗教、家庭生活、災禍、犯罪と刑罰、軍隊、教育、文学、芸術、経済、政治・社会情勢さらには日本におけるヨーロッパ人の生活にまで及んでいる。西洋文明を基準において異文化を観察している点は、この当時の風潮を脱していないが日本文化を「我々の文明よりもはるかに古く、同じように洗練されこれに劣らず成熟した文明」と見ている点など、社会科学者としての公正な視点からの文明批評といえるもので、幕末からの日本の印象記の中では極めて質の高い内容のものと評価できる。
 なお、本書は野田良之、久野桂一郎両氏によって『日本見聞記』として翻訳されている。


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