HOME > 展示目録 > II. 日仏修好通商条約の締結後に刊行されたフランス人による書物(1900年まで)



BOISSONADE, [Gustave Émile]
Projet révisé de code pénal pour l'Empire du Japon
Tokio, 1886.


ボアソナード 『大日本帝国刑法修正草案』

 ギュスターヴ・エミール・ボアソナード(1825-1910)はパリ郊外のヴァンセンヌに生まれ、1852年にパリ大学で法学博士号を取得した。グルノーブル大学やパリ大学の教員を経て、1873(明治六)年に法学講義と法律作成のため我が国の土を踏んだ。来日直後から司法省法学校(現東京大学)をはじめ、明治法学校(現明治大学)や和仏法律学校(現法政大学)で憲法や刑法の教鞭をとった。
 1875(明治八)年に近代的な法整備の確立を迫られていた司法省からの依頼を受け、フランス法を基本にした刑法と後に刑事訴訟法となる治罪法の法典案の作成に着手し、1877(明治十)年にこの二つの草案を書きあげた。これらは1879(明治十二)年にフランス語で刊行され、その内の一冊が本書の元となる『大日本帝国刑法典草案』である。ボアソナードは草案の中で、フランスだけでなくヨーロッパの刑法も参考にし、自首した者の罪の軽減や拷問、死刑の廃止などを提案していた。この草案は日本語に翻訳され、元老院の伊藤博文や陸奥宗光らが審議して修正を加え、1880(明治十三)年に治罪法と共に公布、1882(明治十五)年に施行された。本書は「修正」を経て、公布、施行後に刊行されたもので、「草案」とは表現されているが、完成した刑法典のフランス語原文となるものである。また、司法省の要求によってボアソナードの注釈が付けられている。彼は刑法の草案脱稿後、十年近くにわたり民法典の草案作成に入っており、本書はその多忙な時期に刊行されたものである。
 なお、彼は日本に二十年以上にわたって滞在し、帰国後に旭日大綬章を受章した。


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