HOME > 展示目録 > II. 日仏修好通商条約の締結後に刊行されたフランス人による書物(1900年まで)



DUBARD, [Louis François] Maurice
Le Japon pittoresque
Paris, 1879.


デュバール 『絵のように美しい日本』

 著者ルイ・フランソア・モーリス・デュバール(1845-?)はフランス海軍の主計大尉である。彼は極東勤務の一環として1874(明治七)年から約一年二ヶ月の間、横浜に滞在し、弁天通りで古美術商を営む三谷家と親密な交流を持った。
 本書はデュバールが同家と家族ぐるみの密接な付き合いをする中で、日本人の生活や文化を身近で確かめ、その知識と経験を踏まえ、さらに日光や鎌倉をはじめとする関東地方の史跡や京都、滋賀など近畿地方の名所を訪れた体験をもとにした日本見聞記である。この頃の日本は、彼が来日する二年前の1872(明治五)年に文明開化の象徴といわれた鉄道が新橋と横浜間に開通していたものの、まだ全国各地には江戸時代の面影が残っていた時期であった。デュバールは当時ヨーロッパで流通していた西洋文明優位主義や人種的偏見もなく、日本の文化を外国の一つの異文化として捉え、時には歴史上の人物に纏わる話を交えながら、書名の如く『絵のように美しい日本』として紹介したものである。
 なお、本書は村岡正明氏が日本語に抄訳し、デュバールの僚友マルセルに恋心を抱いた三谷家の娘の姿を『おはなさんの恋-横浜弁天通り1875年』と銘打って刊行している。


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