HOME > 展示目録 > I. ヨーロッパに流布していた日本関係書物のフランス語版と来日経験がなかったフランス人による書物(1857年まで)



PAULE, Marc

La description géographiqve des
provinces & villes plus fameuses de l'Inde Orientale

Paris, 1556.


マルコ・ポーロ 『東方見聞録』


 マルコ・ポーロ(1254-1324)の祖先はダルマニヤの旧家で、十一世紀にヴェネツィアに移り、代々地中海沿岸の諸都市を相手に商売を営んでいた。また、ポーロの父ニコロは中国との交易を計画して、1266年に西トルキスタンから陸路中国に至る大旅行(69年に帰国)をした行動的な貿易商人であった。
ポーロは1270年(71年説もある)に父の二度目の大旅行に加わり、ヴェネツィアから海路アークルへ、以後陸路をイラン高原、パミール高原、甘粛から内蒙古の元の首府上都に達し、皇帝フビライ・ハーンに仕えて重用された。その間、皇帝使節として中国各地に赴き、通算十七年間を中国で送った。1292年にポーロ一行はハーンのもとを辞去し、船で福建からペルシァ湾に向かい、1295年に二十五年ぶりでヴェネツィアの土を踏んだ。
ヴェネツィアに帰ったポーロは商人として活躍するが、ジェノヴァとの海戦で捕虜となり、獄中で物語作者ルスティケッロの助けを得て東方での見聞談を纏めたのが本書の祖本で、日本が初めてヨーロッパで紹介された書物と言われている。本書は1556年にパリで出版されたフランス語版で、同国内で我が国を「黄金の国」として知らしめたものである。
この見聞談はポーロの生存中から珍奇な「作り話」であるといわれ、学問的価値は与えられていなかったが、フビライ治下の元朝の内情や産物・動植物・風俗・地理等についての記述は客観性に富んでおり、時代を経るにつれて学問的にも評価されるようになった。
なお、本書の祖本は早くから失われており、ヨーロッパ各地に写本として断片的に流布していて、完全な形で現存しているものはない。イタリアのある東洋史家の調査によれば、こうした写本や石版本はヨーロッパ各地に百四十余種あり、五十余の文書館等に分散架蔵されているとのことである。


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