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ごあいさつ
 
 今年は「日本スペイン交流400周年」のもとに開催される「日本におけるスペイン年」であります。これは1613(慶長十八)年に仙台藩主伊達政宗が、遣欧使節の支倉常長らをスペインなどヨーロッパに派遣した年から数えて400年目にあたることを記念し、両国を挙げて行われるものです。
 もちろん、スペインと日本の交流の歴史はそれ以上に古く、スペイン生まれのキリスト教宣教師フランシスコ・ザビエルの1549(天文十八)年の来日から数えると464年になります。1582(天正十)年になると、九州の大友宗麟、大村純忠、有馬晴信らのキリシタン大名によって4人の少年からなる使節がヨーロッパに派遣され、スペインでも大いに歓迎されるなど、宗教面だけでなくスペインと日本の文化の交流にも貢献しております。日本国内では次第に宣教師たちの布教活動が強力になり、統治制度や既存宗教と相容れない様相を呈したこともありましたが、やがては江戸時代初期の支倉使節の渡欧へと繋がって参ります。  本学図書館では、森田嘉一第三代図書館長(現本学理事長・総長)が、スペインをはじめとするヨーロッパ諸国と日本の交流の資料を「ニッポナリア・コレクション(西洋言語で書かれた日本研究資料)」として創設し、その関係資料を収集してまいりました。同時に、日本人による外国との交渉の記録を著した「我が国の対外交渉資料コレクション」も構築し、スペインなど海外諸国との交流の歴史を研究するための資料が蓄積されてきております。
 このようなことから、本学図書館が「日本におけるスペイン年」を記念して開催する稀覯書展示会「書物に蘇るスペインと日本の交流の軌跡」は、敢えて発端をザビエルの来日の時代まで遡ります。そして、新しいものは1868(明治元)年頃までとし、上記のコレクションの中から、和書と洋書、さらには古刊地図などを併せて約50点を厳選して出展いたします。そこには日本や日本資料として江戸時代に日本人が書いたスペイン情報もご覧いただけます。
 しかし、未だ質・量ともに十分とは申しがたく、展示や解説につきましても行き届かないところが多々あるものと存じます。こうした中にありましても、多くの皆様にご高覧を賜り、スペインの知識をさらに深める切っ掛けとしていただけましたならば幸いと存じます。
 末筆になりましたが、この展示会の開催に際し、ミゲル・アンヘル・ナバロ駐日スペイン大使閣下よりご丁重なるメッセージを賜りましたことにつきまして、深甚なる謝意を表します。

 2013(平成二十五)年10月

 
京都外国語大学付属図書館
京都外国語短期大学付属図書館
 館長 赤 野 一 郎