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BALBUS, Joannes
"Catholicon
"
Strasburg : [1470]
バルブス 『カトリコン』
カトリコンとは、本来は「万能薬」の意味であるが、あらゆる病気や心の不満を癒すための実用辞典として使われていた。原本は1286年にイタリアのドミニコ会の修道士ヨハネス・バルブス(Joannes BALBUS)が多くの資料に基づいて編集したもので、ラテン語文典に神学辞典が付されており、しばしば書写されて広く民間に流布し愛用された。
カトリコンが初めて印刷されたのは、1460年に活版印刷術の発明者ヨハネス・グーテンベルク(Johannes GUTENBERG, 1400-1468)によってである。今日残っている15世紀に印刷された 『カトリコン』 は、グーテンベルクや本書の印刷者のアドルフ・ルッシュ(Adolf RUSCH)など22種ほどある。当時相当な需要があったことは、充分理解することができよう。
なお、装丁はイギリス19世紀初期のもので、樫の板を教会の窓や尖塔を思わせる形に浮き彫りにして、紺のモロッコ皮を張り金箔を押している。いわゆるcathedral bindingの優れた一例でとして、この展示目録の表紙に使われている。
展示目録 『日伊文化資料展示会』 より |