IELAK_Publication_Series1_tate
88/108

78州で行われ、同地域の主要な町に代理店を開設したり、代理人を置いたりした。代理店や代理人はさらに協力者を従え、協力者は各地を巡歴し、移住者を募った。民間業者は、移住者の募集、募集地における労働者の選別を行い、その後、移住者を輸送し、その間の宿泊と食事の手配を行った。州は、土地・入植・移民局を通じて、民間会社に対し、誘致した人数に応じて手数料を支払った。一人当たりの手数料は、誘致した人数が多ければ多いほど高額になり、経費を抑えれば抑えるほど利益が増した。州が関わるこの大きなビジネスチャンスに、民間会社による移住者の募集は過熱した。3・4 連邦政府の介入ヴァルガスの「新国家」体制は、サンパウロ州と連邦政府との関係を再び変化させた。権力は再び連邦政府に集中し、連邦政府は州への介入を強めた。労働政策に関して、連邦政府は、①都市におけるプロレタリア運動の激化の懸念から外国人を管理する、②サンパウロ州が実質的に行っていた国内の労働市場や国内移住の管理の権限を連邦政府に移行させる、という方針を打ち出した。後者は、サンパウロ州のイニシアチブを廃すと同時に国内の人口移動を適正化し、地方を効果的に開発する意図を有していた(Tessari & Costa 2017:3)。連邦政府は、一九三八年八月二十日付連邦命令三〇一〇号により、外国人および国内移民の導入や補助金についての制限を課した。同命令の六一条では、州政府その他が移民集団を導入する際、事前の許可を要することを定めた。七二条では州政府が移民の導入を委託する企業や私人に条件を設けた。一七二条では、国内および外国の仲介者、企業の代理人、私人による無許可の農業労働者の募集や移住を禁じた。二〇八条では労働者の斡旋を行う民間企業は、移民局への登録と最低五千ミルレイスの資本金を有することが要求された。二六七条では、書面による事前の許可なしでの出移民目的で国内労働者の募集を禁じ、二六九条では州域内、もしくは州を越えて移動させる目的で労働者を無許可で募集することを禁じ、違反すると禁錮もしくは禁錮および罰金の刑が科せられるとした(Tessari & Costa 2017:21-22)。これらの政策には、労働制度が未発達な州に対し、連邦が主導して体制を整えさせる意図も有していた(Tessari & Costa 2017:22)。3・5 サンパウロ州政府の対応連邦政府の介入は、サンパウロ州の国内移民の導入に際しての補助金の支出のあり方や、民間企業への委託に関して制限を課す目的があったと考えられるが、農業ならびに工業化の中心地としてのサンパウロを否定した訳ではなかった。むしろ「連邦と(サンパウロ)州の権限の近似性」(Tessari & Costa 2017:19)が存在しており、「新国家」体制以後、連邦政府が主導したにせよ、協働体制が築かれていったと言える。サンパウロ州政府は、一九三八年八月二十日付連邦命令三〇一〇号を受けて、一九三九年六月二十一日付州法一〇三四四号を公布した。同法により、土地・入植・移民局が移民・入植局に再編された。同局には、「外国もしくは本国他州出身の農業労働者に対する、入植、移民、就職、指導に関する州の法令の運用ならびにこれらの事項について連邦政府との協定や合意を通じて州に委任されたことを実施もしくは監督」し、「移民ならびに入植の業務について連邦政府の移民当局と協力する」権限が付与られた。また同局には、管理部門以外に、サントス入国審査所、移民収容所、公共職業安定所、移住労働者監督署、入植監督署、リオデジャネイロ事務所が置かれることになった。サントスの入国審査およびサンパウロ市ブラスに設置されていた移民収容所、入植監督署については、再編により上部組織が変更されたものの、従来と同様の業務が行われた。公共職業安定所は、サンパウロ州でも同様の業務は行われていたが、連邦命令三〇一〇号一八〇条により各州一律に設置すること(15)(16)(17)(18)(19)(20)

元のページ  ../index.html#88

このブックを見る