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vはじめに界に出ていく中で、唯一南米ブラジルの開発が、アジアで試みたような「点と線」ではなく、「面」で展開したことに注目している。今日、世界のポルトガル語圏諸国共同体の加盟国は、ヨーロッパのポルトガル、南米のブラジル、アフリカのアンゴラやモザンビークなどに加えてアジアの東ティモールの計九か国である。経済成長と資源に対する関心の高まりとともに、ポルトガル語圏諸国への国際社会での存在感が高まっている。その中にあって、なぜアフリカやアジアのポルトガル語圏では果たせなかった「面」の開発を南米のブラジルのみが実現できたのか、という問いかけが鮮明になってくるとし、歴史的考察によってその答えに方向性を示したのが本論考である。モイゼス・カルヴァーリョ研究員は「A situação atual e os desafios para educação dos povos indígenas na América Latina(ラテンアメリカにおける先住民教育の現状と挑戦)」と題し、ラテンアメリカにおける先住民の社会文化的多様性を明らかにし、彼らに対する誤解とそれによってもたらされた先住民教育の弊害の実情分析を通して、伝統的な先住民自身が育んできた教育をいかにラテンアメリカにおける現代の教育プログラムに組み込むかを探っていく。さらに、教育学と認知心理学に基づいて、ラテンアメリカで行われている先住民の学校教育の特性と質を向上させることを目的とした、いくつかの可能な研究の方向性を示す。最後に「Bases para una investigación sobre la transición energética en América Latina desde un punto de vista sociológico(社会学的観点から見たラテンアメリカにおけるエネルギー移行についての基礎的研究)」と題する論考のなかで、ユイス・バユス研究員はヨーロッパで主流のエネルギー移行に関する分析概念をどのようにラテンアメリカ諸国の事例に当てはめることができるかについて議論している。このため、まず再生エネルギー付きの新しい発電施設の建設に関する住民の対応や、第三の産業革命に関する理論から見た経済システムの変化、協同組合制度の観点から見た市民参加などの分析について詳述している。次いで、メキシコ、ウルグアイ、コスタリカ、チリにおける再生エネルギー導入の状況や特徴について述べられる。中でもメキシコは、先住民村落による新しい施設の受け入れや発電施設建設の参加に関する研究に適した実例を示してくれるし、チリ、ウルグアイ、コスタリカの比較研究は、国家や市場、住民参加にそれぞれ違いがあり、経済モデルの変化に関する研究には最適だろうと結ぶ。以上が本書に収められた論考の概要である。一見百花繚乱のごとくに見える、それぞれが大きく異なったテーマであるが、私たちの関心は常に「ラテンアメリカ世界の現いま在」を理解することにあり、一方でそれは先住民の現実、論理を明らかにする方向へと向かっている。考古学やその隣接科学、歴史学や人類学がその主たる方法論だ。だが、他方で植民地時代以降現代に至るまで、ラテンアメリカには様々な社会・民族集団、国家が入り混じり、日本から見れば実に複雑な錯綜した社会が生まれ、営まれ、そしてそれを背後で支える様々な思想がある。その中に足を踏み入れ、腑分けしていく知的作業は、歴史学や社会学、経済学や経済史、教育学や認知心理学など、多岐にわたる学問分野とその成果を渉猟しなければならない。これらすべてが、京都外国語大学ラテンアメリカ研究所で行われている研究なのである。ここに出版する論考が、同感なり反発なりを惹起し、さらに豊かなラテンアメリカ社会の現いま在を理解するための契機となることを願っている。二〇二一年三月編者 大 越   翼

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