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59プエルトリコにおける文化的ヒスパニック性とブラックネスコでは人種概念はどの程度根付いているかである。十九世紀の米国の国家発展において、人種の問題は大きな障壁となる。マニフェスト・デスティニー(明白な天命)を原理とした同国の領土拡張政策が推進されるなか、他国の領土へ侵入し、国境線が南西に拡張される過程で、すでにそこに居住していた先住民(インディアン)やメキシコ人が暴力的に排除されていった。米墨戦争(一八四六―一八四八年)の過程で、米国が自国領域を拡大することに一部を除いて異議は起こらなかったが、白人以外の有色人種が自国領内に入ってくることに対しては憂慮を覚え、どこまで領土を拡大するのかという獲得領域に関して論議を醸した。米国では、いわゆる「ホワイトネス」を高めるため、混血という道を選択しなかった。とりわけ一九二四年の一滴法(One-Drop Racial Law)では、黒人の血が一滴でも混じることで、黒人とされたのである。逆に、州法のレベルで、一時的にメキシコ系を白人に区分したこともあった。ところが、ラテンアメリカでは、混血と国の発展が同一視されていた。十九世紀後半におけるプラグマティズム(実証主義)の影響を受けて、とくにメキシコでは、バスコンセロス(José Vasconcelos)の「コスモポリタン人種」(世界宇宙的人種 raza cósmica)に象徴されるように、混血化(mestizaje メスティサヘ)を通じて、白人と混血することで劣等な先住民(インディヘナ)や黒人を生物学的に縮小化させ、究極的には白人に限りなく近い、優良な遺伝子をもつ混血が国家統合や発展に寄与するものであると確信された(Godreau 2015:125-126)。プエルトリコの場合は、ラテンアメリカで発展した優生学の影響を受けて、白人の血(遺伝子)は優良で黒人のそれは劣等とされた。従って、生物学的、遺伝子学的見地によると、白人と非白人が「混血」することにより、人種が混淆するだけでなく、より白人化していくという説が支持された。ペドレイラによると、プエルトリコの歴史は、大きく三つにわけることができる。第一は、発見と征服の歴史(十六世紀―十八世紀および十九世紀初めまで)第二は、十九世紀から一八九八年米西戦争まで、第三は米西戦争以降から現在まで、となる。第一期に先住民はスペインの支配下で、十八世紀にはほぼ絶滅した。同時に、スペイン人と先住民の混血であるメスティソが生まれた。従って、メスティソ、白人、黒人に分かれる。そして、白人と黒人の間に中間的なムラート(mulato)が存在していた。ただし、ムラートは社会的には一つの人種として認められなかった。第二期に、第一期に導入された黒人奴隷がいたが、同時にプエルトリコの熱帯の過酷な風土に順応できたプエルトリコ生まれのクリオージョが誕生したのもこの時期である。クリオージョとムラートがプエルトリコの大地に順応していたが、ムラートがさらに黒人と混血することで、グリフォ(grifo)と呼ばれるより複雑で中間的な混血が生まれた。グリフォは、コーヒーや砂糖きびのプランテーションの沿岸部や、タバコ栽培の高地での過酷な労働に従事していた(Ayala and Bernabe 2007:34)。黒人は温厚かつ白人に従属することでその調和を保とうとする一方、グリフォは自己の権利回復を強く要求し続けたのである。結局プエルトリコで考えられるのは、先住民のタイノが絶滅し、黒人、白人が人種対立の基本となる。そして残りのムラートやグリフォは「混淆したあいまいな」もの(Pedreira 2004:32)とされ重視されなかった。しかし、ベドレイラは、白人と黒人は根本的に対立関係にあるものの、人種混淆の可能性を否定しなかった。さらに、ペドレイラは、人種混淆による白人化は理念上のことで、実際は、人種の社会面を重視する発想の方を重視した(Pedreira 2004:27, 33)。つまり、黒人は白人の西洋文化を受容することにより、換言すれば、文化混淆による白人化により、黒人という人種概念を消去ないしはそこから逃れることができたと考えたのである(Ayala and Bernabe 2007:119)。この点では、同じ一九三〇年世代の論客でもブランコ(Tomás Blanco)の立場は異なる。ブランコは『プエルトリコにおける人種差別(El prejuicio racial en Puerto Rico)』(一九四二年)で、人種混淆論を積極的に支持した。彼によると、米国南部のジム・クロウ法にみられるような過酷で暴力的な人種差別はプエルトリコでは皆無であるとする。かりにプエルトリコに人種差別があるにせよ、ほとんど弊害がない。その理由は、「完全な」黒人がプエルトリコには

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