ii知の荒海へ― 新たなる船出を祝して ―本学は一九四七年に京都外国語学校として産声をあげて以来、Pax mundi per linguas(「言語を通して世界の平和を」)を建学の精神として、世界の様々な言語を通して異文化を学ぶだけではなく、手を携えて世界の諸問題に立ち向かってこれを解決していく人材を育ててきました。我が国には様々な外国語大学、あるいは外国語学部を備えた大学がありますが、本学は一九八〇年に「メキシコ研究センター」を創設し、語学教育と地域研究をラテンアメリカ研究と並行させていくことにしました。その後二〇〇一年にはこのセンターは「京都ラテンアメリカ研究所」と改称して、その研究対象をラテンアメリカ世界全体に広げました。その間、ニューズレターや紀要、ラテンアメリカ講座(教養講座と研究講座)、あるいは講演会等の活動を通して教育・研究・社会活動に重要な役割を果たしてきました。二〇一六年に現在の「京都外国語大学ラテンアメリカ研究所」と改称されてからも、この伝統は引き継がれています。本学の「ラテンアメリカ研究」の歴史は四十年を閲しましたが、ブラジル・ポルトガル学科、スペイン語学科の教員を主としたその所員の研究は、先スペイン期先住民社会の考古学的研究から植民地時代を経て現代社会の研究に至るまで、極めて多岐にわたるテーマをカバーしております。国際文化資料館には中南米地域の豊富な考古・民族資料も所蔵されており、これほど豊かな人的、物的資源を有する大学は、国内でも稀にみるものだと自負しております。その研究所が、今年からIELAK Publication Seriesと題する、新たな出版事業を始めます。研究所所員や客員研究員の独創的な研究成果を、いち早く電子媒体で出版することは誠に時宜にかなったことだと申せましょう。今日、様々な学問分野における国際競争は、Publish or perish(出版するか消え去るか)という言葉まであるくらい熾烈であります。京都外国語大学ラテンアメリカ研究所が、従来のニューズレター・紀要の出版に加えてこの新しい学術出版を始めることは、本学で行われている研究を世に問うためのもう一つの知的資源として極めて大きな意味があると考えます。これからこのシリーズが号を重ねていき、本学で刮目すべきラテンアメリカ研究が行われていることが、国内のみならず国外でも知られるようになることを願っています。二〇二一年一月京都外国語大学・京都外国語短期大学学長松 田 武
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