i「IELAK Publication Series」を刊行するにあたって京都外国語大学ラテンアメリカ研究所の前身であるメキシコ研究センターが設立されてから、今年で四十年になる。途中で京都ラテンアメリカ研究所に改称され、さらに現在の呼称になったのは二〇一六年のことだ。この間、研究所はラテンアメリカ諸国の文化を様々な学問分野から研究し、教養講座、研究講座、あるいは講演会を通して広く研究者や一般の方々とその成果を共有する努力を続けてきた。一方、今世紀に入ってからの学術研究のありようは、大きな変化を遂げたと言っていい。その進歩は「日進月歩」などという言葉で形容できるような緩やかなものでは到底なく、驚くべき早さで進んでおり、学問分野の越境どころか、国際的な共同研究なくしては成立し難いことの方が多くなった。その中にあって、京都外国語大学ラテンアメリカ研究所が国際的、学際的研究にさらなる努力を傾注していかねばならない事は言を俟たない。そしてその努力は、出版という形で速やかに公表されなければならないことも明らかである。これをうけて、京都外国語大学ラテンアメリカ研究所では、従来学術論文を中心に掲載してきた紀要の他に、新たにIELAK Publication Seriesと題する出版媒体を設けることにした。これは、不定期ではあるが、私たちの論文以外の研究成果をできるだけ早く出版し世に問うことを目的とするものである。従来各研究者は外部の出版社を通してこれを行ってきたし、その努力はこれからも継続させるべきだろう。しかし一方で出版界における厳しい現実は、商業ベースに乗るか否かをもって、採否を決定せざるを得ない状況にあることはよく知られている。実際、わが国で出版されている研究書の多くが、助成金を使った、あるいは自費による出版になっていることは、この現実をよく示すものだろう。したがって、本シリーズは優れた研究成果を出版することを目的にするという、本来あるべき姿を研究所として取り戻し、刊行物を通して京都外国語大学ラテンアメリカ研究所では質の高い研究がなされているという国内外の評価につなげていきたいと思うのである。読者諸賢のご理解とご支援を願う次第である。二〇二一年一月 吉日京都外国語大学ラテンアメリカ研究所所長大 越 翼
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