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103・3・1 プロジェクト・マティグアスにおける考古学調査の成果と評価▼研究開始当初の背景ラテンアメリカ・カリブ海地域は、近年目覚しい成長を遂げ、中産階級が増加し貧困層が減少した。とくにマタガルパ県など中部〜北部山地、ならびにカリブ海沿岸地域はニカラグアの中でも高貧困地域として分類されており、オルテガ政権は、農村部での飢餓撲滅・生産振興を目的とした「飢餓ゼロ計画(アンブレ・ゼロ)」等の社会プログラムを推進。持続 的農村開発のための教育と健康が課題の一つとなっている。▼考古学的課題調査地は、ニカラグア国立自治大学考古学情報機関(以下、CADI)の二〇一〇年キラグア山系西麓地域踏査で初めて報告された(Balladares 2011)。約二〇のマウンド(土盛遺構)と長さ四・五mの男根状モノリート(中米特有の石柱。中でも最大)が確認された当該地域の中心的遺跡である。調査ではモノリート東側の最も大きいマウンドを発掘し、頂部に石組構造物に使われていたと思われる石群を確認した。その中心になっている石材集中部の方位と背後のキラグア山系山並みの位置関係から、このマウンドが天文観察のための祭壇と推定した(南 二〇一六)。建造物と天体運行、山を神聖視する文化は古代メソアメリカとの比較文化が研究課題である。またキラグア山系西麓の遺跡群は、ニカラグアにおける初の集落研究の場となる。集落研究が進むメキシコでも一般住居を対象とした研究が少ない。メキシコ・テスココ地域の遺跡の属性と分布から後古典期セトルメント・パターンに特化したパーソンズの研究方法と成果(Persons 2008)を発展させた先駆的な研究が可能である。▼地域活動の課題こうした考古学調査成果を、博物館的活動(写真展や小学生発掘現場体験など)を通して地域社会に還元していく研究を行なっている。マティグアス郡の各村長・マティグアス市民・ティエラブランカ村住民など各アクターへの活動報告やアンケート調査を通して、考古学を仲介者とした地道な住民との交流が、地域の文化財やプロジェクトへの関心を高めることが確認された。今後は、人と人の信頼関係の下、直接的利益に結びつける草の根的活動が求められることを踏まえ(加賀美 二〇〇〇)、活動を継続していくこと、住民参画の意識を醸成すること、具体的な活動方法を提案し実施していくことが課題である。▼研究の目的・方法これらを踏まえ当初の研究の目的を以下とし、その達成のために①〜③の目標と方法を設定した。ニカラグア共和国マタガルパ県マティグアス郡ティエラブランカ地区ラスベガス遺跡の学術的重要性を明らかにした上で、遺跡とその周辺、キラグア山系西麓地域をフィールドミュージアムと見立て、先住民の文化財の博物館的活用を通して、当該地域が慢性的に抱える貧困、教育問題の解決と持続的な開発と発展を可能とする具体的方法を地域住民と協働し、見つけることにある。その上でニカラグアの文化遺産の保護に関する政策的含意を読み解き、博物館活動を通した住民主体の地域活性化モデル、すなわち日本ならではの現地との堅固な信頼関係に基づく草の根的援助の基盤を整備する。①発掘調査を実施し、遺跡の文化財としての学術的価値を明らかにする研究を行う。ラスベガス遺跡の測量調査とマウンド一の発掘調査を、研究期間中に継続的に実施する。また、出土遺物の編年的研究による当該地の時期編年を作成する。(10)(11)

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