8もう一つはハリケーンである。西アフリカ沖で発した熱帯低気圧が、大量の水分を含みながらカリブ海に到達すると貿易風にのり、暴風と大雨によってカリブ海諸国に大きな被害をもたらす。一方、ハリケーンのルートから外れる南米側の島々は半乾燥地帯であり、しばしば干ばつの被害が多くなる。3 本研究の目的と成果アメリカ地中海における「海の道」を視点に、考古学資料を用いて「ヒトとモノの交流」の復元を試みる研究を進めている。本章では、アメリカ地中海を西部、中部、東部、そして南部と北部の五つに分けて、各地域の特徴を訳述した上で、実施している研究活動の目的とその成果をまとめる(図1)。3・1 アメリカ地中海西部メキシコ湾に相当する。メソアメリカ文化圏に重なり、なべ底に例えられるメキシコ湾南部には紀元前一五〇〇年ころから約一〇〇〇年にわたって初期古代文明のオルメカが栄えた。この地域は、南シエラマドレ山脈を水源とし蛇行する河川が作る後背湿地が広がっており、狩猟採集を主な生業としてオルメカ文化が始まった。豊かな植生を背景にやがて初期農耕に移行した。石彫類や土器の文様からジャガーが信仰され、またトウモロコシ農耕があったことが推定されている。また、球戯に用いられたゴムボールも出土しており、後に続く古代メソアメリカ文明の特徴がすでにこの時期にみられる。一方、低平な地形に亜熱帯ジャングルが広がり、川が蛇行するなど、陸路の移動が困難であったオルメカの人々は、移動に河川をつかって交流していた。たとえばオルメカを代表する大型石彫品の石材や石彫品そのものを運搬するためには船(筏のようなもの)が必要であった。実際に船形のヒスイ製品も出土している。また、現在も交通機関として渡し船が機能しアメリカ地中海西部アメリカ地中海東部アメリカ地中海南部アメリカ地中海北部アメリカ地中海中部図1 アメリカ地中海地図
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