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セクシュアル・ハラスメント専門相談員 周藤由美子(すとう ゆみこ)

女性のためのカウンセリングルーム「ウィメンズカウンセリング京都(WCK)」のフェミニストカウンセラー。行政や大学などのセクシュアル・ハラスメント専門相談員も兼任。著書に「セクハラ相談の基本と実際」(新水社)がある。

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(このコラムは、セクシュアル・ハラスメント専門相談員の周藤由美子先生がキャンパスリポートに寄稿したものを再掲載したものです。)

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断り方のポイント(2014.03.13 キャンパスリポート415号)

入学や進学、就職など新しい出会いの季節ですね。楽しくワクワクすることも多いでしょうが、自分にとっては苦手だったり不快だったりする出来事もあるかもしれません。そんなときに、嫌だと思っていることを相手に伝えるのはどうしたらいいでしょうか?

何十年も前のことですが、職場でヌードカレンダーを置いていた先輩にそれをやめてほしいと伝えたことがあります。みんなの前で言うと先輩も気まずいだろうと思ったので、廊下で偶然二人になったときに「やめてもらえませんか?」と言いました。「え、なんで?」と聞き返されましたが、あえて「セクハラですよ」という言い方はせずに「私はああいうのは苦手なんですよ」と言ってみました。先輩は納得したわけではなかったようですが、それからカレンダーは撤去してくれました。

相手に嫌だと伝えるときのポイントはいくつかあるのですが、ひとつは相手を説得しようと思わないことです。説得しようとすると、相手はいろいろな理屈をつけてきて納得してくれないかもしれません。私が嫌だからという理由で十分なのです。また、相手の状況や伝えるタイミングなども考えましょう。そして、どうしてほしいかをはっきりと伝えると、相手も対応しやすくなると思います。

何よりも「自分が嫌だと思っていることを相手に伝えてもいいのだ」と自信を持つことが大切です。一人では確信が持てなかったら、事前に誰かに相談してもいいかもしれません。人権教育啓発室でも一緒に考えることはできますよ。

どうしたらストーカー被害を防ぐことができるのか?(2014.01.06 キャンパスリポート414号)

昨年10月に三鷹市で女子高校生が元交際相手に殺害されたストーカー事件は非常に衝撃的でした。女子高校生は学校や警察にも相談していましたが、結局、事件を防ぐことはできませんでした。ストーカーは場合によっては殺人事件にまで発展してしまう危険性があります。しかし、今回のように相談しても防げないのならどうしたらいいのでしょうか。実は、10月には改正ストーカー規制法が施行されたばかりでした。法律が改正されても、なぜまたこのような悲惨な事件が起きてしまったのかと残念でなりません。今回、たとえば担任の教諭が学校の近くの警察署に相談した際に、被害者の自宅近くの警察署に情報提供されていて、被害者が帰宅する際に警察官が同行していればどうだったでしょうか。仮定の話をしてもしかたないかもしれませんが、本当に危険な場合は、自宅には帰らずに警察や婦人相談所などで一時的に保護してもらうことも可能だったはずなのです。

一方で、そこまで深刻になる前に早めに対処することで、つきまとい行為がストップすることもあります。相手がそこまで迷惑していることに気づいていない場合などは、注意されることで行動を改めることもあるのです。人権教育啓発室ではこれまでもそのような相談を受けてきています。「こんなことくらいで対応してもらえるのだろうか?」と遠慮せず、早めに相談してもらえれば、対応策を一緒に考えることができます。深刻な場合には、警察とも連携しながら対応していますので、一人で抱えこまないでまず相談することを考えてみてください。

「男性がセクハラに気付けない理由」が理解できる本(2013.10.16 キャンパスリポート413号)

本屋さんで書名に目をひかれて思わず手にとってしまったのが『部長、その恋愛はセクハラです!』(集英社新書)という本です。著者は牟田和恵・大阪大学教授。日本で初めて「セクハラ」の語を流通させるきっかけとなった福岡セクハラ裁判に関わり、現在もキャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワークの中心メンバーという方です。

そのセクハラ対策第一人者の本だったら、さぞかし男性に厳しい内容なのだろう、と思って読んでみたところ…。「(男性が)セクハラしたつもりはないのに、セクハラだと訴えられる、『理不尽』と思える目になぜ遭わなければならないのか。(中略)どうしたら、そんな目に遭うのを防げるのか」「男性には不本意に思える、セクハラ発生のメカニズムと背景に分け入って、男性が気付けない理由を解き明かし、予防のためのレッスンを提案します」とあります。ずいぶん男性の立場に立っているのだなあと意外に思いました。

章ごとのレッスンとして「男性が気付けない理由」を短くまとめてあるのも親切な作りです。いくつか抜粋すると「セクハラの大半は、グレーゾーンである」「『俺は真剣なんだ!』は大間違い」「女性はイヤでもにっこりするもの」「中高年のモテ要素は、地位と権力が九割がた」「露出の多いファッションは、男性のためではない」など。どういうこと?と関心を持たれた方は、一読をお勧めします。特に男性がどんな感想を持つのか、是非聞いてみたいと思っているところです。

根深いスポーツ界のセクハラ問題(2013.07.12 キャンパスリポート412号)

先日、「スポーツ界におけるセクハラ・暴力の現状と課題」という学習会に参加してきました。オリンピックの金メダリストが、指導している女子大学生を強姦したということで有罪判決が出されたり、最近も全柔連の理事がセクハラで実質的に除名されたことが報道されるなど、スポーツ界におけるセクハラ事例は後を絶ちません。学習会では、この問題を専門に研究している大阪府立大学の熊安貴美江先生が、調査のデータなどを使ってスポーツ界でセクハラが起きやすい要因を分析されました。

紹介された調査結果の中で驚いたのは、女子大学生を対象に「肩や腕にさわる」「マッサージ」「自室に呼ぶ」など19項目についてセクハラと思うかどうかを聞いたところ、体育系学生は一般学生よりもセクハラとは思わないと回答する割合が高かったということです。また、男性の指導者が女子選手にいつも自室でマッサージをさせて寝ていたという証言が新聞記事で紹介されていました。しかも、それを証言した女性の卒業生は、まったくおかしいとも思っていなかったのです。

熊安先生は、スポーツ界においてセクハラや暴力が見えにくい要因として、「身体接触や個室指導などの機会が多い」「指導者と選手が共有する時間や空間が多い」「上意下達の人間関係あるいは家族的な親密関係」「勝利至上主義的価値観」などがあると指摘されました。

スポーツ界におけるセクハラ問題の根深さを改めて実感しました。熊安先生の改善に向けた提言の中に「スポーツにかかわるすべての人への人権に対する意識啓発とトレーニング」とあったのですが、そこから地道に始めることが必要なのかもしれません。

「今時そんなことはもうないんじゃないの?」(2013.05.07 キャンパスリポート411号)

ある自治体でセクハラ・パワハラが起こり、そのことで相談されたことがありました。加害者だけでなく、職場全体を対象にした研修を考えたいので協力してほしいということでした。再発を防止する必要がありますから、あまり一般的な内容では意味がありません。そうかと言って、ハラスメントの詳しい内容を知らされていない職員もたくさんいるため、実際にあったハラスメントの事例をそのまま使うわけにもいかず、似たような事例を考えて研修資料を作ることになりました。

そして研修を実施。「このような例についてどう思いますか?」と問いかけられた参加者から、「今時、そんなことをしたらハラスメントになることは誰だってわかっているはず。もっと、ハラスメントになるかどうか微妙な例を挙げてくれないと研修の意味がない」などという批判の声が出たそうです。担当者はその感想を聞いて、それもそうだと思いつつ、「そんなこと」が実際にあったわけですから、とても複雑な気持ちになったそうです。
わかっている人にとっては、それがハラスメントであることは「常識」で、今更言われなくても「そんなこと」をしてはいけないことは決まりきったことです。一方、加害者は依然としてそんなこと問題ではないだろうと思ってやっているわけです。

ハラスメントをめぐってはこういったギャップがあります。だからこそ「今更そんなこと」などと思わず、ハラスメントに対する取り組みをずっと続ける必要があるのです。

ソーシャルメディアを使ったハラスメントの深刻さ (2013.03.13 キャンパスリポート410号)

1月5日の朝日新聞に“「ネットで胸を見せた」と告白した少女は”という衝撃的なタイトルの記事が掲載されました。フェイスブックなどのソーシャルメディアを使ったハラスメントを取り上げたものです。記事では、カナダの15歳の高校生が昨年10月に自殺してしまったケースを取材していました。彼女は「ネット経由でおしゃべりしていて、相手から『かわいいね』と言われ、求められるままウェブカメラに胸を見せた。その瞬間の画像を記録されてしまった」ようで、その男に「(フェイスブックの)友達みんなにその写真を送られてしまった」というのです。2度転校しても状況は変わらなかったそうで、逃げても逃げ場所がないソーシャルメディアを使ったいやがらせの深刻さを改めて考えさせられました。

彼女の場合は見知らぬ男が加害者でしたが、別れ話をした交際相手からフェイスブックにプライベートな写真を掲載された、といったハラスメントの相談もよく聞きます。15歳の少女の場合は、もっと気を付けたらよかったのに、と言われてしまうかもしれません。ただ、誰しもつい相手を信用してしまうということはありますし、それを悪用した加害者が卑劣なのです。

相手が特定できない場合には、有効な対応策を見つけるのは難しいかもしれませんが、(元)交際相手からのソーシャルメディアを利用したいやがらせは、デートDVやストーキングの一例といえます。そんな時は、一人で抱え込んでしまうのではなく、一度、人権教育啓発室(セクシュアル・ハラスメント相談)に来てみてください。

解決の難しいストーカー事件 (2013.01.07 キャンパスリポート409号)

2012年9月に京都の30歳代の大学職員が殺され、数日後に50歳代の同僚の職員が逮捕された事件には、皆さんもショックを受けられたのではないかと思います。加害者からストーカー被害を受けていた女性職員から相談を受けた30歳代の職員が、ストーカーをやめるように加害者を説得したことで、恨みを募らせたのではないかと報道されていました。 この女性職員の心情を考えると、本当に胸が痛くなる思いがします。女性職員は学内のハラスメント対策の相談員には相談していなかったそうです。大事にしたくないなど、いろいろな理由があって、なかなか相談しにくかったのではないかと思います。
しかし、ストーカーの問題を解決するのは、本当に難しいものです。ストーカーの心理として、「自分がしていることは悪いことではない。きっとそのうち、相手も自分の好意を受け入れてくれるはずだ」などという思い込みがあって、いくら被害者が迷惑していると伝えても納得しないのです。警察などが介入することで、やっと止まる場合も少なくありません。 今回の事件によって、ストーカー事案は単なる個人的なトラブルということではなく、場合によっては殺人にいたる可能性もあるのだと、今更ながら認識させられました。もし被害にあったり、被害を相談されたりしたら、自分(たち)だけで解決しようとせず、大学や警察や専門の機関に、できるだけ早く相談してほしいと思います。

SOSを出すのは難しい (2012.10.15 キャンパスリポート408号)

大津の中学2年生が自殺した事件には皆さんも関心を持たれているのではないかと思います。学校や先生がもっと早くいじめに気づいて介入できなかったのだろうか、と問題になっていますね。

周りの生徒が先生に知らせたのに、現場に行った先生が男子生徒に聞いたところ「大丈夫」と答えたので、いじめとしては対応しなかったというようなことが報道されています。そのとき相手側の生徒たちも一緒にいる場で、先生が男子生徒にいじめかどうか確認したという話もあります。

この話を聞いて私が思い出したのは、アメリカの警察のドメスティックバイオレンス(DV)対応のことでした。殴られている妻から通報を受けて現場に駆けつけた警察官は、夫がいる前で妻に事情を聴いてはいけないとされています。暴力をふるう夫の前では、妻は夫の報復を恐れて本当のことが言えません。「ただの夫婦ゲンカです」「もう大丈夫です」と答えるでしょう。そうではなく、必ず妻を別のところに呼んで、夫がいないところでDVかどうか、告訴するかどうかなどの意思を確認するのです。

被害者はなかなかSOSを出すことができません。加害者が一緒にいたらなおさらです。これはデートDVやセクハラ、パワハラでも共通していることです。何かおかしいと気づいた場合には、被害者がSOSを出せるように周囲の注意深い対応が必要なのです。

こんなこともセクハラ? (2012.07.13 キャンパスリポート407号)

ぽっちゃりした体型をからかわれたり、「結婚できない」としつこく笑いものにされたり。TVのバラエティ番組などではよく見られる場面で、からかわれたタレントもそれを売り物にしていたりします。しかし、授業で先生が学生に対して「そんなだったら結婚できないぞ」と言ったり、職場で先輩からみんなの前で日常的に体型をからかわれたりしたら…。からかっている側は相手を傷つけている自覚もなく軽い気持ちで言っているのかもしれませんが、言われる側がいつも笑ってすませられるとは限りません。言われてもそれほど気にならない人もいるかもしれませんが、言われるのが嫌でたまらない人にとっては、それはセクハラになります。

「そんなことくらい、たいしたことないのではないか」と思うかもしれません。しかし、度重なると、授業に出たくなくなる、職場に行くのも憂うつになってしまうなどの影響が出ることもあります。「不快だったら嫌だと言えば相手もやめるのではないか」という反応もあるかもしれません。でも、大勢の前で言われるとなかなか反論しにくかったり、上下関係がある場合には相手に逆らえなかったりすることもあります。

「相手の望まない言動で不快感や屈辱感を与えること。相手の人格や尊厳を傷つけること」がセクハラです。どういったことがセクハラになるのか改めて考えてみてもいいのではないでしょうか。

人間関係におけるパワーを意識しよう (2012.05.07 キャンパスリポート406号)

セクハラなどのハラスメントと、恋愛や人間関係のトラブルとの違いは何でしょうか?簡単に言えば、パワーが関係しているかどうかです。

たとえば先生と学生、上司と部下、先輩と後輩などの上下関係というパワー。「嫌だからやめてほしい」と言うと、その場の人間関係が気まずくなるので言えないというのも、被害者にとっては集団のパワーの影響を受けていると言えるかもしれません。また、交際していた相手に別れたいと言ったら、脅されたりしつこくつきまとわれたりするデートDVやストーカーのケースでは、物理的なパワーに対する恐怖があります。

問題なのは、加害者となっている側は、自分(たち)がパワーを持っていることに気づいていない点です。自分のことを相手が怖がっているかもしれない、というのはなかなか認めにくいことです。「嫌だったら嫌と言えばいい」とよく言われます。でも、思っていても言えないのは、パワーが関係していることを考える必要があります。

もし「あなたがしていることはハラスメントですよ」と言われたときには、「自分は意識していなかったけれど、パワーを濫用していたのかもしれない」と自分のことを振り返ってみてください。そこまでいかなくても、あなたのいる環境でハラスメントが起きやすくなってないか、見直してみるといいかもしれません。

周囲の人もケアを受けよう (2012.03.12 キャンパスリポート405号)

セクハラで困っている被害者がまず相談するのは、身近にいる友人という場合も多いでしょう。話を聞いて自分のことのように心配し、人権教育啓発室にも一緒に付き添ってきてくれる場合もあります。被害者は「もっと自分がしっかりしていたらこんなことにはならなかったのに」と自分を責めたり、怖くて加害者に対して何か行動を起こすことも考えられなかったりします。そんなときに、「あなたが悪いわけではないよ」「大丈夫だよ」と支えてくれる人が1人でもそばにいてくれると、ずいぶん気持ちが楽になると思います。

被害者の相談を聞いたり、周囲でサポートをする人も、実はその人自身がとても傷ついたり、セクハラの影響を受けることがあります。被害者をサポートすることで自分の方に加害者からの攻撃の矛先が向けられてしまうのではないかと怖くなることもあるでしょう。

「自分は直接の被害者ではないのだからこんなに傷つくのはおかしい」とか、「被害者が一番大変なのだから自分のことは後回しにするべきだ」などと思う必要はありません。セクハラなど深刻な人権侵害を見聞きするだけで深く心が痛むことはありますし、直接の被害者でなくても辛くて抱えきれなくなったら自分自身のケアが大切です。無理をしてサポートし続けて、耐え切れなくなって途中で投げ出してしまったら、その方が被害者にとってはショックなことかもしれません。1人で抱えこまないで誰かに相談して助けてもらうことは、被害者にとってもプラスになることなのです。

「二次被害」を知っていますか? (2012.01.06 キャンパスリポート404号)

昨年3月の東日本大震災以降、被災された方はもちろんのこと、直接に被災していなくても、それまでとは何もかも変わってしまったと感じる人はたくさんいます。また、大変な状況を頑張ってきた人たちの中には、心や体にたまってきた疲れがピークに達して、体調を崩す方も少なくないと思います。さらには、震災から時間が経過するにつれて、周りから理解してもらえていないと感じる人も多くなっているかもしれません。そして、それはセクハラの被害者にも共通しています。

周囲の人に理解してもらえなくて傷つけられることを「二次被害」といいます。「二次被害」の打撃は深刻です。孤立感や無力感を感じたままでは、トラウマの後遺症から回復することは難しくなってしまうからです。また、なぜ理解してくれないのだという激しい怒りを「二次被害」を加えた周囲の人にぶつけてしまうこともあります。

励まそうとした言葉であっても「あなたよりももっとつらい目にあった人もいるのだから、まだましだ」「いつまでも過去のことに縛られていないで前を向いたらどうか」というのは、相手は否定されたように受け取られます。

まずはじっくり話を聞いて、その人の感じていることを否定しないでください。誰かが「二次被害」を加えず、その人の側にいてくれたら、被害者は少しずつ回復の道を進むことができます。

もしあなたがセクハラと言われたら? (2011.10.12 キャンパスリポート403号)

ここ外大だけでなく一般的にセクハラ相談室では、セクハラを受けたという相談者からの訴えを聞いて、すぐに調査委員会を開いたり、加害者を処分したりすることはありません。相談者の要望を聞いた上で、「セクハラ行為をやめてくれたらそれでいいです」という場合には、加害者として訴えられた人の担任の先生や上司などから、加害者に話をしてもらうことがあります。たとえば「あなたがしていることを相談者は不快に思っています。もうメールをするのはやめてください」というようなことを伝えるのです。

そのように言われた加害者が、「自分は相手を困らせるつもりはなかった」「もう近づきません」と約束して無事に解決ということもあります。しかし、中には、「なんでこんなことで呼び出されないといけないんだ」と呼び出しに応じなかったり、「自分はそんなことはしていない」とセクハラ行為を否定したりすることもあります。

セクハラを訴えられた加害者は、自分がしていることがセクハラだと思っていないことがほとんどのようです。「自分は相手のことが好きなんだから」「相手は嫌がっていなかったはず」などの理由で「これはセクハラではない」と思っているのかもしれません。そのときに「相手は嫌だと言える状況だっただろうか?」と相手の立場に立って考えてみることがポイントになります。あなたのまわりでは大丈夫ですか?一度つきあい方を点検してみてもいいかもしれません。

「I(アイ)メッセージ」で断ってみよう (2011.07.15 キャンパスリポート402号)

大学のイベントのことでメールアドレスの交換をしたら、それほど親しくないのに個人的な話題のメールが送られてくるようになった。最初は適当に返事をしていたけれど、どんどん内容がエスカレートしてきている気がする。毎回返事をしないようにしたら、相手も迷惑に思っていることに気がつくかもしれないと期待したが、どうも気がついた様子もない。だんだん不安になってきてどうしたらいいかわからなくなってきた。

こんな場合はどうしたらいいでしょうか?自分の気持ちを伝えるときには「Iメッセージ(わたしメッセージ)」を心がけると伝えやすくなります。たとえば「あなたがしつこくメールしてくるのはセクハラよ」などというのは相手に焦点をおいた「YOUメッセージ(あなたメッセージ)」です。それに対して「Iメッセージ」で言うとすれば「あなたからのメールが個人的な内容が多いのでどんなふうに返事をしていいか私は困っています。メールをもらえるのならイベントについての連絡だけにしてほしいのです」などとなります。「Iメッセージ」は、「私は」を主語にして自分の気持ちや要望を伝えるやり方です。「YOUメッセージ」は相手に攻撃的に受け取られることもありますが、「Iメッセージ」だと相手も受け入れやすくなるのです。

嫌なことを断りたいときにはこの「Iメッセージ」を思い出して使ってみてください。一人では難しそうだったら相談に来てもらえれば一緒に考えることもできますよ。

震災とセクハラ被害 心のケアが大切です (2011.04.28 キャンパスリポート401号)

このたびの東日本大震災は、被災された方はもちろんのこと日本全体にとっても経験したことのないような大きなトラウマ体験だと思います。こうした体験をした人には「トラウマ反応」といわれるような様々な心身の症状が出ます。強い恐怖や無力感を感じたり、生き残ってしまったことへの罪悪感を抱いてしまうこともよくあります。自分がおかしくなったのではないか、と思ってしまうかもしれませんが、「それだけ大変な目にあったのだから当然の反応なのだ」と理解する必要があります。周囲の人にできることは「そばにいるよ」「見守っているよ」ということを伝えることだと言われています。特に、今回は東北の方が我慢しがちであることから、「抱え込まないでつらいと言ってね」というメッセージもよく聞かれました。

セクハラ被害も深刻なトラウマ体験のひとつです。震災とセクハラ被害はまったく同じとはいえませんが、共通しているところもたくさんあります。被害者は自分が悪くないのに「もっと自分がしっかりしていれば」「なぜあのとききちんと拒否できなかったのだろう」などと自分を責めたりすることもよくあります。周囲の人にできることも共通しています。被害者に寄り添い、被害者がひとりではないと思えるようにサポートすることです。そして、やはり被害にあったら、自分ひとりで悩みを抱え込まないで相談してほしいと思います。人権教育啓発室では、いつでもあなたの来室を待っていますよ。

自分を責めすぎないで (2011.03.14 キャンパスリポート400号)

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんの中にはこれから新しい環境、新しい人間関係の中に入っていかれる方も多いと思います。

空前の就職難で、何十社も試験を受けて採用されなかったりすると、「自分には何か問題があるのではないか」「自分はどこにも必要とされていないのではないか」などと自信を失いがちですよね。

「自分にも問題がある」と思ってしまうと、どうしても力がわいてきません。セクハラやパワハラなどのハラスメントを受けたときも同様です。ハラスメントは、する側の問題なのですが、「こんな目にあうのは自分だけだ」「これをおかしいと思う自分の感覚の方が間違っているのではないか」などと自分を責めてしまうと、とてもつらくなって体調も悪くなってしまいます。

誰かに相談して「あなたが悪いわけではないよ」と言ってもらえると良いのですが、特に新しい環境に入ったばかりだと、周囲に親しく話ができる人もいなくて孤立しがちです。また、せっかく入った会社なのに辞めるわけにはいかない、と我慢してしまうことも多いのです。

状況が大きく変わらなくても「自分は悪くない。相手の問題だ」と思えるだけで、ずいぶんストレスも違ってくるものです。そのためにも一人で抱え込まないで誰かに相談してみましょう。あなたの味方になってくれる人はきっといるはずです。

相談するのは力があるからです (2011.01.07 キャンパスリポート399号)

内閣府が2008年に行った調査で「異性から無理やり性交された」経験があると回答した人が女性の7.3%もいました。そんなにたくさんいるのか?と驚かれた方もいるかもしれません。でも、もっと驚くのはそのうち62.6%の人は「どこ(だれ)にも相談しなかった」と答えているのです。つまり半数以上の被害者は誰にも相談していないのです。なぜ、被害にあってもなかなか相談できない(相談しない)のでしょうか?

相談者の中には、「誰にも相談しないで一人で頑張っていた時の方が自分は強いと思えていた。誰かに相談しないとやっていけないのは、自分が弱くなった気がする」と話す人もいます。そんな時には、「あなたは自分で相談先を探して、予約の電話をかけて、ここまで相談に来たんですよね。つらいけれど自分の問題にしっかり向き合って、解決しようと動いたわけですよね。それはすごく力があることだと思いますよ」と伝えます。

「自分のことで誰かに迷惑をかけてしまうのは申し訳ない」と思う人もいます。でも、かけがえのない大切な存在であるあなたが、ハラスメントという人権侵害を受けているのに、周囲がそれに気付けなかったために何もできなかったら…。その方が周囲は悲しいし悔しいと思うのです。相談してもらって何かできる事の方がみんなにとってはうれしいことなのです。「困った時には相談してもいい」「誰かに相談することは弱いことではない」ということを是非、覚えておいてほしいと思います。

セクハラの加害者は巧妙です (2010.10.12 キャンパスリポート398号)

私はいくつかの市役所のセクハラ専門相談員もしています。先日、職員を対象にしたセクハラ防止や対応のマニュアルをつくりたいと相談を受けました。保健師や介護士などは仕事で市民のお宅を訪問することがあるのですが、そこで職員がサービスの利用者である市民からセクハラ被害にあうことがあるのです。それをどのように防ぐかといったマニュアルをつくりたいということだったのです。

マニュアルをつくる担当者の提案の中に「被害にあう危険性の高い相手のところに訪問するときには気をつける」という内容がありました。それに対して私は、「これまでの経験からすると、セクハラをするように見えない人が加害者である場合も多い。セクハラの加害者はすごく巧妙に、相手が嫌と言えない状況をつくってセクハラを繰り返す常習者であることもよくある」という説明をしました。

いかにもセクハラをしそうな人に対して注意をしていれば被害にあわないということならむしろ安心でしょうが、そうではないところがセクハラの難しいところです。少なくとも被害にあった場合に、被害者が「もっと注意していればよかったのに」と責められないようにすることが大切なことだと思います。

これはキャンパスでのセクハラにも同じことが言えると思います。あなたやあなたの周りで被害にあって悩んでいる人がいたら、ひとりで抱え込まないで人権教育啓発室に相談してください。

デートDVって (2010.07.09 キャンパスリポート397号)

「デートDV」という言葉を知っていますか?結婚している相手からふるわれる暴力はドメスティックバイオレンス(DV)といいますが、交際相手からの暴力のことを「デートDV」というのです。

たとえば、勝手に携帯のメールを見られたり、いつどこに誰と行くのか常にチェックされるので彼・彼女以外の友達とつきあえなくなってしまった。彼・彼女に内緒で男女数人で遊びに行ったことがばれたら一晩中責められた。「別れたい」と言ったら殴る、蹴る、の暴力をふるわれた。別れた後にもう一度つきあってほしいと学校やアルバイト先で待ち伏せされてしつこくつきまとわれた。こういったことが「デートDV」の例です。

自分が経験していても、「こんなことをするのは彼や彼女が自分のことを愛してくれているからだ」「彼や彼女を心配させたり、怒らせたりしたから自分が悪いのだ」などと思って、どんなにつらくても我慢している人もいるかもしれません。

「デートDV」にあって、怖い思いをしたり、大学生活を送ることに影響が出ているようなら、一人で悩まないで、是非、相談に来てください。また、友達の様子を見て「デートDV」ではないかと思ったら、「一緒に相談に行ってみよう」と声をかけてみてください。どんなに好きだとしても相手を支配して傷つけることは人権侵害であり、ハラスメントなのです。

誰にでも教える必要はないのです (2010.04.30 キャンパスリポート396号)

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。新入生にとっても、在学生にとっても、春はさまざまな出会いがある季節ですね。

きっと、初めて出会った人たちの間では携帯電話の番号やメールアドレスなどを教えあう場面もあちこちで見られるのではないかと思います。そこから人間関係が広がり、大学生活が楽しく充実することでしょう。

ただ一方で、何気なく教えたことから、その後しつこく電話がかかってきて、断っても「会おう」と誘われたり、不快な内容のメールが送られてきたり…などのセクシュアル・ハラスメントにつながる危険性も残念ながらあるのです。

「聞かれたら教えないと相手が変に思うかもしれないから」と電話番号やメールアドレスを教えるのが当たり前と思っている人も少なくないようです。しかし、電話番号やメールアドレスはあなたの大切な個人情報です。あなたが教えたくなければ、誰にでも教える必要はないのです。

もし、迷惑な電話やメールがあったときには、できそうだったら「不快なのでやめてほしい」と、伝えてみましょう。怖かったり不安になったり、自分だけではどうしていいかわからなくなったら、一人で悩まないでいつでも相談に来てください。

お互いに相手の人権を尊重した人間関係をつくれるように応援していきたいと思います。

自分の感覚を信じてほしい (2010.03.12 キャンパスリポート395号)

これを読んでいる方の中には、この春から卒業して社会人になられる方もいると思います。そういう皆さんに伝えたいことは、「自分の気持ちや感覚を信じてほしい」ということです。

たとえば、就職したばかりの職場の飲み会で上司や先輩からお酌を強要されたり、異性との交際の経験を根掘り葉掘り聞かれたり、カラオケでデュエットを強要されたりして嫌だったけれど、みんながそれを当たり前だと思っている様子だったとしたら…。あなたは、「不快に感じるのは自分がまだ学生気分が抜けていなくて、社会人になったらこれくらいのことには慣れなければやっていけないのだろう」と思ってしまうかもしれません。

しかし、不快だと思うあなたの感覚が間違っているわけではありません。あなたが不快だと思ったらそれはセクハラです。セクハラは男女雇用機会均等法で事業主に防止と措置が義務付けられているのです。これくらい我慢しなければならないのかな…と思っているうちに、もっと深刻なセクハラ被害にエスカレートする危険性もあるのです。

でもセクハラを訴えたら「せっかく就職できたのに、仕事を失うのではないか」と心配するかもしれません。行動を起こす場合には慎重に考える必要はあるでしょうが、そのまま無理をして体調を崩してしまっては、働き続けることができなくなるということも考えられます。

「おかしいな」と思うことがあったら、早めに、信頼できる友人や家族に相談してみましょう。また会社に相談窓口があるかもしれないので確認してみましょう。卒業して1年間は人権教育啓発室に相談することができますので、困ったら電話をしてきてください。

セクハラについて一緒に考えていきましょう (2010.01.07 キャンパスリポート394号)

セクハラを受けたときにはどこに相談に行けばいいか知っていますか? 9号館の7階に人権教育啓発室があります。いつでも来てもらえばよいのですが、私が直接お話をお聞きできるのは毎週木曜日の15時から19時です。私が京都外大のセクハラ専門相談員になったのは2000年なので今年で10年目になります。

この10年でセクハラの相談を受けた人の中には、加害者が怖くてたまらなくなり、眠れなくなったり食事が摂れなくなったり、体重も激減して、大学を休まざるを得なくなるなど、深刻な影響が出た人もいました。また、「自分がもっときっぱり断っていたらよかった」とか、「なぜあんな行動をとってしまったのだろうか」などと自分を責める人も多くいました。

相談を受けて私が必ず伝えることは「あなたは悪くない」ということです。嫌だと思っても相手が先生だったり、先輩だったり、バイト先の上司だったり、教育実習先の担当者だったりするとなかなか断れないですよね。それに予測もしないところで急に相手からセクハラを受けたら、びっくりして声も出せないということもあるのです。また、嫌だと言っても聞いてくれないという相手の問題もあります。だから、自分を責める必要はないのです。

でも、まだもうひとつ納得できないと思われる人もいるかもしれません。セクハラをもっと身近に考えてもらうために、これからいろいろな角度から取り上げていきたいと思います。

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