草野柴二訳
『モリエエル全集』

明治41(1908)年

  モリエール(Moliere、本名Jean-Baptiste POQUELIN,1622-1673)は裕福な市民階級に生まれたフランスの喜劇作家である。当時の市民階級で受け得る最高の教育を受けた彼は父の反対を押し切り、俳優の道を目指し劇団を結成することになる。この劇団はまもなく解散するが、その後旅回りの一座に加わって南仏旅行で巡演する。この頃から彼の劇作活動が始まった。
  本書の訳者、草野柴二(1875-?)は東京帝國大学英文科を卒業後中学教師となり、それと並行してモリエールの翻訳を行った。本書は英語訳を底本とした重訳ものであるが、日本最初のモリエールの全集本である。本書に収められている作品はモリエールが最初に台本を書き演出を手がけたと言われる「艶舌魔(ル・バルブイエの嫉妬)」、大好評を博した「夫人学校(女房学校)」、宗教的偽善者を風刺して公演中止となった「偽善者(タルチュフ)」、モリエール自身が主演アルパゴンを演じたという「守銭奴」など計15作品である。本書は厳密な翻訳ではないが読者の理解を最優先する配慮がうかがえる。

展示目録 『日仏文化資料展示会』 より


        
戻る  図書館ホームページへ