Lamb, Charles & Mary
Tales from Shakespeare
London, 1909

ラム 『シェイクスピア物語』

 チャールズ・ラム(1775-1834)はイギリスの随筆家、詩人、批評家です。ロンドンに生まれ、クライスツ・ホスピタル校に入学し、そこで生涯尊敬する友人となるS. T. コールリッジと知り合いになりました。経済的な理由から大学への進学を諦めて南海貿易会社に入社し、その後、東インド会社へ移り、仕事の傍ら文筆活動を続けました。姉メアリーが狂気の発作から母を刺殺し、彼自身もしばらく精神病院に入院した経験があるので、姉の保護者として一生独身で過ごしました。
 彼は詩人として出発し、最初の頃はコールリッジの名で作品を発表しています。また "Reflector" 誌や "Quarterly Review" 誌などに評論・随筆を寄稿しますが、"London Magazine" 誌に連載された随筆はその後『エリア随筆』(Essays of Elia, 1823)、『エリア随筆続編』(The last essays of Elia, 1833)として発表されました。これらはユーモアあふれる古雅な文体で、イギリス随筆文学の代表的な作品となっています。1825年に東インド会社を退職し、1834年ロンドンの北部エドモントンにて永眠しました。
 姉のメアリーとの共作として1807年に、『シェイクスピア物語』(Tales from Shakespeare)を書いていますが、悲劇は彼が喜劇はメアリーが担当しました。この著作の内容は、シェイクスピアの作品を少年少女のために分かりやすく散文に書き直したもので、原文も分かり易いところはそのまま取り入れられています。ラムが親しんできたシェイクスピアの作品であるだけに、原作の味を出すように巧みに工夫されていて、原作の21篇がこの本の中に入れられています。シェイクスピアの入門書としての名著と言われ、現在でも人気を失っていません。
 本書は1909年にロンドンで750部限定出版された大型本で、アーサー・ラッカムの挿絵入りです。

「GAIDAI BIBLIOTHECA」184号より


        
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