"The Adventures of Sherlock Holmes"
DOYLE, A. Conan
London, 1892.

ドイル
 『シャーロック・ホームズの冒険』

 コナン・ドイル(Conan DOYLE, 1859-1930)はスコットランドの官吏の家に生まれ、苦学してエディンバラ大学で医学を修めた。1882年にサウスシーで開業したが一向に患者が来ず貧乏な生活を続けた。その後ロンドンに出て眼科医として開業したが、相変わらず患者が来なかった。彼がこのような閑散とした医者生活の中で執った文筆から、世界的に有名なシャーロック・ホームズが生まれたのである。
 シャーロック・ホームズ物語は長短合わせて約60編あるが、舞台が19世紀の末であるにも拘らず、その奇抜な着想、緻密な推理、巧妙な筋の運びで古さを感じさせない。ドイルは雑誌社から読切短編を依頼され、1891年7月から1892年6月まで毎月一編ずつ発表したが、これが読者の熱狂的歓迎を受けて雑誌の売行きが数倍になったといわれる。同年にこの粒揃いの12編を集めて 『シャーロック・ホームズの冒険』 (The Adventures of Sherlock Holmes)がロンドンで発行された。本書はその初版本である。彼の短編ではシャーロック・ホームズの友人ワトソンが記録したことにして書かれているが、どの物語でもホームズがすばらしい素人探偵として科学的捜査に活躍する。
 「探偵小説はドイルに始まってドイルに終わる」といわれるように、探偵小説というジャンルはコナン・ドイルによって確立されたということができる。

『GAIDAI BIBLIOTHECA』 155号より


        
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