DEFOE, Daniel
"The Life and Strange Surprizing Adventures of Robinson Crusoe"
2vols. London, 1790

デフォー 『ロビンソン・クルーソー漂流記』

 イギリスのジャーナリストで小説家でもあったダニエル・デフォー(1660-1731)は、ロンドンの肉屋の息子として生まれた。父親は彼を聖職者にしようとしたが、彼は商人になった。その後、政治活動を始め、非国教派に対する圧迫を諷刺した小冊子を発行して罰金、入獄の刑に処せられた。様々な文筆活動の後、1719年に 《The Life and Strange Surprising Adventures of Robinson Crusoe》 を出して彼の名を不朽のものとした。なお、本書は彼の死後1790年にロンドンで出版されたものである。
 この作品はデフォーが58歳の時のもので、世の中を知りつくした彼が実際にあった話からヒントを得て書いたものといわれている。それは、アレクサンダー・セルカーク(Alexander Selkirk, 1676-1723)という靴屋の息子が、チリ海岸沖の無人島Juan Fernandezで暮らした事実をもとにした創作で、航海と冒険が好きな英国人の国民性に合ったため大きな成功を収めた。
 このロビンソン・クルーソーの物語は日本でも早くから知られ、江戸時代に二種類の翻訳がみられるが、いずれもオランダ語訳からである。そのひとつは、嘉永元年の訳と考えられる江州膳所藩の蘭学者黒田 盧行次郎(安政10年-明治25年)の 『漂荒記事』 であり、これは明治5年に上梓され、第一巻を 『魯敏遜全伝』 と題して斉藤了庵訳の名で刊行され、後に全文は大正2年刊の 『文明源流叢書』 第一に収められている。もうひとつは安政4(1857)年9月に刊行された、国学者横山由清(文政9年-明治12年)の略本 『魯敏遜漂行記略』 で、由清32才の時の自費出版という。共にオランダ語訳からであったことは、いかに早く 『ロビンソン・クルーソーの漂流記』 が日本に伝わっていたかを示している。

『GAIDAI BIBLIOTHECA』 153号より


        
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