今から100年前、1903(明治36)年の日本と世界は、どのような世の中だったのでしょう。
  この年の日本はペリー提督の来航から50年、明治新政府樹立から満35年を経過しています。また、世界の情勢はその日本を一方の当事国として、ロシアとの戦争(翌年2月に日露戦争開戦)に向かう厳しい雰囲気がただよっていたようです。
  このような世相の中で生まれた人や亡くなった人たちが、後世に残した業績や社会を変えた出来事と関係する本を読んでみませんか。
 
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日  本
 
生まれた人(生誕100年)
 
 阿部知二(1903-1973)小説家
    岡山県で生まれ、東京帝大英文科を卒業。昭和初期には『恋とアフリカ』などで、当時流行のプロレタリア文学とは一線を画す新興芸術派作家として活躍。戦後は『日月の窓』などを書いた。
 小津安二郎(1903-1963)映画監督・脚本家
    東京の出身で三重県立四中を卒業。松竹蒲田に入り、監督として初めて『懺悔の刃』を作った。サイレント時代の作品を経て、『東京物語』や『彼岸花』などの代表作を残した。
 草野心平(1903-1988)詩人
    福島県で生まれ、慶應義塾大学普通部を中退。英語や中国語を学び、南京に移住していたこともある。蛙を主人公にして反抗精神を表した詩集『第百階級』や戦後の『太陽は東からあがる』が有名。
 小林多喜二(1903-1933)小説家
    昭和初期のプロレタリア文学作家。秋田県の農家に生まれ、小樽高商を卒業。『蟹工船』で有名になり、『防風林』などの作品を残している。
 今 日出海(1903-1984)小説家
    北海道出身の作家。東京帝大仏文科を卒業。美術や演劇にも造詣が深いが、小説『天皇の帽子』で直木賞を受賞した。初代の文化庁長官。今東光の兄。
 島木健作(1903-1945)小説家
    北海道出身。東北帝大を中退して農民運動に参加。弾圧により転向して小説家を志し、『盲目』などの作品で新進作家として認められた。農民の生き方を描いた作品が多い。
 竹山道雄(1903-1984)評論家、小説家
    東京帝大独文学科卒業後、同大学の教授を勤めた。『剣と十字架』で読売文学賞を受賞。毎日出版文化賞や文部大臣賞を受賞した『ビルマの竪琴』は余りにも有名である。
 中野好夫(1903-1985)評論家・英文学者
    松山市の生まれで東京帝大卒。『アラビアのロレンス』を翻訳し、戦後、東大教授に就任。その後、「平和」の編集長として、イギリス合理主義に基づいた幅広い見識を示した。
 林 房雄(1903-1975)小説家
    大分県で生まれ、東京帝大法学部を中退。『林檎』でプロレタリア作家としてデビューしたが、獄中転向して浪漫派の流れに入り歴史小説で評価され、戦後は『妻の青春』などで流行作家となった。
 林 芙美子(1903-1951)小説家
    幼少の頃から苦労を重ね、その体験を『放浪記』に人気を博した。また、庶民の姿を客観的に描写した『牡蠣』や戦後の『浮雲』などで流行作家として文学界に名を残している。
 深田久弥(1903-1971)小説家
    石川県で生まれ、東京帝大哲学科中退。昭和初期の青春小説『親友』、さらには『わが小隊』など幅広い作品で知られ、戦後は山岳紀行文『日本百名山』などを書いた。日本山岳会会長も務めた。
 古川緑波(ろっぱ)(1903-1961)俳優
    東京に生まれ、早稲田大を中退。声帯模写に優れていたことから、徳川夢声らと「笑の大国」を作り、浅草常盤座で活躍。その後、東宝に入り榎本健一に匹敵する喜劇俳優になった。
 森 茉莉(1903-1987)小説家・随筆家
    東京で森鴎外の子に生まれ、仏英和女学校を卒業して作家となった。妖美や古典美さらには魔性を取り入れた独特の手法で『甘い蜜部屋』などの作品を残している。
 山本周五郎(1903-1967)小説家
    山梨県の出身。『日本婦道記』で直木賞を、『樅ノ木は残った』で毎日出版文化賞を辞退。また、『青べか物語』で文芸春秋読者賞を辞退するなど、非妥協性を示しながらも秀作を残した作家。
 若杉 慧(さとし)(1903-1987)小説家
    広島に生まれ、広島師範学校を卒業。教員生活の後、『微塵の世界』で認められ、戦後は青春小説『エデンの海』が人気を呼んだ。石仏の研究にも力を注いだ。
 
亡くなった人(没後100年)
 
 落合直文(1861-1903)歌人・国文学者
    文久元年に陸奥国の本吉郡で生まれた。東京帝大古典講習科に学び、皇典講究所の講師などを務め、『日本文学全書』の刊行に尽力した。『ことばの泉』の編集者として知られる。
 尾崎紅葉(1867-1903)小説家
    慶応3年に江戸(東京)に生まれる。『金色夜叉』など有名な作品を残すと共に、日本ではじめての文学結社「硯友社」なども創設するなど、わが国の文学界に金字塔を打ち立て、37歳の若さで没した。
 高橋泥舟(でいしゅう)(1835-1903)幕臣・槍術家
    天保6年に攘夷派の幕臣。徳川15代将軍退役後の慶喜の身辺警護にあたり、上野寛永寺から水戸、駿府に同行。以後、役職に就かなかった。勝海舟、山岡鉄舟と並び幕末三舟といわれている。
 滝 廉太郎(1879-1903)音楽家
    明治21年に東京音楽学校を卒業し、『荒城の月』や『箱根八里』、『四季』など、現在でも歌い継がれる有名な曲を作曲した。24歳で逝去したが、わが国の洋楽創始期に重要な役割を果たした。
 津田真道(まさみち)(1829-1903)衆議院議員・貴族院議員・法律家
    文政12年に美作国(岡山)津山に生まれた。箕作阮甫や佐久間象山から洋学を学び、オランダに渡って法学を修めた。明治政府では、外務や法制関係の要職に就き、初の衆議院副議長となる。
 
 
外  国
 
生まれた人(生誕100年)
 
 コールドウェル、アースキン(1903-1987)アメリカ・作家
    ジョージア州で生まれ、独特のユーモアで社会的弱者を描いた作品で人気が高い。『タバコ・ロード』、『神の小さな土地』などの作品がある。
 
 ユルスナール、マルグリット(1903-1987)フランス・文学者
    ベルギーのブリュッセルで生まれた。恵まれた家庭で行き届いた教育を受け、小説、戯曲、詩、随筆など、幅広い分野の作品を残した。小説では『黒の過程』が代表作になっている。
 
 シムノン、ジョルジュ(1903-1989)ベルギー・小説家
    リエージュの生まれ。ジャーナリスト経験してパリへ移り、心理小説や推理小説の作家として専念する。『婚約』を初め、膨大な数の作品を残したが、作品を書くペースは月に1冊であったとも言われている。
 
 オーウェル、ジョージ(1903-1950)イギリス・作家
    インドのベンガルで生まれ、イートン校に学んだ。インドの警察に入りビルマに勤務したこともある。第2次世界大戦前は『カタロニア賛歌』、戦後は『1984年』などが有名である。
 
亡くなった人(没後100年)
 
 ゴーギャン、ポール(1848-1903) フランス・画家
    パリで生まれた後期印象派の画家。タヒチやマルケサス島に住み、文明に毒されていない美しい環境をもとに、土地の風景や原住民を強烈な彩色で描いた画風は有名である。
 
 モムゼン、テオドール(1817-1903) ドイツ・歴史、古典学者
    ガーディンクの生まれ。キール大学で法律を学び、卒業後はフランスやイタリアでローマ時代の碑文を研究した。『ローマ史』や『ローマの属州』など主著があり、ノーベル文学賞を受賞している。
 
 
100年前の世界と日本の出来事
 
 太平洋横断海底電線敷設 1903年から100年(アメリカ)
    1月にサンフランシスコ・ホノルル間が海底ケーブルで結ばれ、7月にはホノルルとフィリピンが結ばれました。
 
 小学校国定教科書制度の公布 1903年から100年(日本)
    文部省が著作権を所有するものです。(4月)
 
 フォード自動車会社設立 1903年から100年(アメリカ)
    アメリカで初めての自動車会社として設立され、その後の大量生産体勢に繋がっていきます。(6月)
 
 オペラ初上演 1903年から100年(日本)
    国際的なソプラノ歌手となった三浦(柴田)環らによりグルックの『オルフォイス』を上演。(7月)
 
 初めてのワールド・シリーズ 1903年から100年(アメリカ)
    9戦のシリーズとして行われ、ア・リーグのボストン球団が優勝しました。(10月)
 
 パナマ独立 1903年から100年(パナマ)
    パナマがコロンビアから独立し、アメリカはパナマとヘイ・ブナウ=バリジャ条約を締結して、運河地帯の永久租借権を獲得しました。(11月)
 
 ライト兄弟初飛行成功 1903年から100年(アメリカ)
    「鳥のように空を飛びたい。」ライト兄弟の偉業は、世界を大きく変えました。(12月)
 
 キュリー夫妻ノーベル物理学賞受賞 1903年から100年(フランス)
    フランスのベクレルとキュリーの夫妻が放射能の研究でノーベル賞を受賞しました。