京都外国語大学 国際貢献学部 Be a Changemaker

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INTERVIEWChangemakerたちのストーリー

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変わらなければ、町は滅びる。
新しい農業を、次の世代へ。

農業生産法人 株式会社GRA
代表取締役CEO
岩佐大輝

新しい世界が見たくて、
保守的な故郷を離れた

宮城県・山元町。生まれ育ったこの町を、10代の頃は「早く出たい」と考えていました。変化を嫌う、保守的な人たちが多いことに反発し、新しい世界に飛び出したかったのです。上京して、24歳の時にITベンチャーを起業。ビジネスが軌道に乗り、収入も増えるなか、だんだん、私にこれまでと違った感情が芽生えます。「これが自分の使命なのか?」「自分は世の中の役に立っているのか?」。そして2011年3月。東日本大震災が、故郷を襲ったのです。

壊滅的被害を受けた故郷。
自分には、何ができる?

東京から山元町に帰ってきたのは、震災直後。旧知の人たちが大勢亡くなったのを間近に見て、「生きている自分がやらなければ」という想いで、私は東京から人を集め、ボランティア活動に取り組みました。やれることは何でもと頑張り続けてきた、ある日。近所のおばさんに言われたのです。「息子の働き口がない。あなたは東京で会社をやっていたんだから、泥かきをするより、仕事を作ってよ」。それこそが自分の本当の使命だと、私は気づきました。

若者が集まる、
新しい農業のかたちを!

雇用を作るために、私が着目したのが、町の特産品であるイチゴです。かつて129軒あったイチゴ農家のほとんどは津波で流され、残ったのはわずか4軒。その復興支援から着手しましたが、農業の体質や考え方は古く、それが、若者が働く上での障壁になっていました。「それなら自分たちがビジネスとして農業に参画しよう。農業技術そのものを変え、若い人たちが働ける場を作るべきだ!」。私はその道40年のベテランに教えを請い、イチゴづくりに挑戦。その農業技術をデータ化し、高い専門知識を持つ仲間たちとともに、IT制御されたハイテクビニールハウスを完成させました。若い人たちの手で、安定して高品質なイチゴを作り続けることができるハウスです。

挑戦し、変化し続けることが、
地域振興に繋がる

私たちの“新しい農業”から誕生したブランド「ミガキイチゴ」は、今や海外のTVでも紹介され、国内外で注目を集めています。サウジアラビアの農業技術視察団、タイや台湾からの観光客など、大勢の外国人が山元町を訪れるようになりました。町は変わりつつあります。それ以前に、私自身が変わったのでしょうね。PCに夢中になった少年時代。ビジネススキルを磨き、ITベンチャーでの成功にひたむきになった東京での日々。自ら選んだ道での様々な体験を通じて成長し、さらに震災という体験を経て、自分自身の使命を見つけたのです。町も、農業も、古いままでは未来がない。新しい農業のモデルケースを示すことで、町が変わりつつあるように、自らが挑戦し、変化することが、未来を変える力に繋がるのだと、今確信しています。みなさんも、何にでも自由に挑戦してください。その体験から「自分が学ぶべきこと」も見えてきます。自分の人生は、自分で切り拓くものですから。

写真:岩佐氏
Profile
1977年宮城県亘理郡山元町生まれ。高校卒業後、上京。24歳で起業し、ITコンサルティングビジネスに携わる。東日本大震災後、被災した故郷の復興支援を目的とした団体「GRA」を創設し、被災地ボランティアに取り組む。2012年に農業生産法人株式会社GRAを設立。以後、山元町のイチゴ産業復興と雇用創出をめざし、ITによる農業技術の革新に努めてきた。その新技術での栽培からマーケティングまでの一貫管理体制により、2013年にはイチゴの高級ブランド「ミガキイチゴ」を完成。現在、国内外での販売拡大を進め、インドなど海外への技術提供を通じて現地の雇用創出にも貢献している。
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    岩佐さんの挑戦を支える、強い武器となっているのが、高度なITスキル。その原点は、PCに夢中になった少年時代にあります。「誰かに言われたからでなく、自ら“おもしろい”と感じ、誰よりものめり込んできました」。だからこそ、自らの人生をも切り拓く、大きな力へと育てることができたのかもしれません。

  • 写真写真

    イチゴの市場規模は1500〜2000億円。「町の人々に愛されてきた特産品であるとともに、マーケットも大きい」と考え、岩佐さんはイチゴビジネスに参画。現在、ミガキイチゴはイチゴの最高級ブランドとして広く認知され、ワインや化粧品などにも展開されています。

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    職人の技や勘をデータ化し、適切な栽培環境をIT技術で徹底管理。季節を問わず、おいしいイチゴの安定供給を実現しています。

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    若い世代が楽しんで取り組め、安定収益が見込める「新しい農業」により、雇用を創出し、町の持続的な繁栄をめざします。