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2022/05/18 11:00:00 展示資料紹介 番外編① イスラームミニ展示

  • Category展覧会
  • Posted by西村
すっかりご無沙汰してしまいました。
国際文化資料館の西村です。

今日は、久しぶりのお天気ですが、なんだか梅雨の気配を感じる今日この頃です。この季節は資料館の収蔵庫や展示室内の環境にも気を使わねばなりません。たまに降る雨は癒しや恵みの雨ですが、近年の土砂降りは勘弁してほしいところです。

さてさて、前回に引き続き、イフガオ族のお話をするという予告ではありましたが、今回は、イスラームのミニ展示をご紹介したいと思います。

現在、ご存知のように、4階の企画展示室にて「宮武辰夫コレクション~原始芸術へのあこがれ~」を開催中ですが、3階のコレクション展示室の前にギャラリーという小スペースがあるのをご存知でしょうか。

こちらで、イスラーム文化のミニ展示を行っております。
これらの資料は、本学で教鞭をとっておられた故田中四郎名誉教授のコレクションで、中東から北アフリカにすまう人々の生活雑貨です。

今回は、水たばこやお祈りに使われてきた絨毯、護符を入れるアミュレット、コーヒー用具などをピックアップしています。

水たばこは、椰子の実で作られたものもあれば、ガラス製のものもあって、形や色にバリエーションがあります。

絨毯はのちの購入品で、イラン製です。メヒラーブ(ミヒラーブ)文様があしらわれています。メヒラーブとは、モスクの礼拝室の内壁にしつらえられたアーチ状のくぼみで、このくぼみはメッカの方向を向いています。この形をモチーフにしています。手織りで、優しい風合いが感じられる絨毯です。

イスラームの基礎知識や、習慣、アラビア文字についても解説しています。
これらについては、また次の機会にこちらでご紹介させていただきます。

資料館にはこのほか、様々な資料がありますので、それらも少しずつこちらのブログでご紹介していこうと思います。
どうぞお楽しみに!

  • 展示の様子
  • 水たばこ
  • お祈り用絨毯

2022/05/09 10:00:00 展示資料紹介 その⑦

  • Category展覧会
  • Posted by西村
緑が目に染みる、新緑・薫風の季節となりました。
昨日は、さわやかな陽気でしたが、今日はまた少し気温が低いようです。

こんにちは!資料館の西村です。
よい休日を過ごされましたでしょうか。
西村は休みにもかかわらず決まって5時30分には猫たちに起こされ、比較的規則正しく時間を過ごしました。

さて、それでは展覧会、資料紹介ブログともに再開です!ぱちぱちぱち!

今日ご紹介するのはイフガオ族の木匙です。
木製のスプーンですが、手のひらにすっぽり収まる大きさで、コロンとした感じがなんとも愛らしく、持ち手の彫刻にも惹かれます。
この木の匙に対して、宮武は次のような解説を書いています。

「ルソン島イフガオ数千尺の溪谷には、畦の延長何萬哩(マイル)と称されて居る一大水田層が見られるが、彼等はこの水田を信仰的な米の住居と考へ、米も立派に生命のある精霊と信じて居る。而(そう)してその米をすくひ食ふ匙にも一種の信仰を加味した彫刻を施して、一層米の霊の魔力を念願しても居る。この民族は太陽を崇拝し偉大な神人の存在を信じて居るが、それ等の匙にもかうした太陽や祖先として敬愛して居るものを彫り刻んで居る。木彫りの技に秀でて居る原始人としては先づこのイフガオ族を挙げたいが、これ等の食器や什器には、線のふとい強い表現をもつたものが多い。」
(宮武辰夫著 「世界原始民藝図集」第五輯 「世界に原始藝術を探る」第五巻より抜粋)

使い込まれた艶と、持ち手の人物は祖先のだれか、なのでしょうか。愛嬌ある表情が印象的です。食べるものを体に入れるために使う道具にも、敬愛を表して木彫を施す、という点に宮武は感じるものがあったようです。イフガオの人々は、お米に精霊が宿ると信じ、その力を体内に取り入れることで自らも力を得ることができると信じていました。日本でもお米の一粒一粒に神が宿るという考えとよく似ていますね。

2つ目の写真は、イフガオ族の棚田の風景です。現在は世界遺産にも登録されていて、観光地にもなっているようです。

次回は、もう少し、イフガオ族についてご紹介したいと思います。
お楽しみに!

  • イフガオ族の木匙
  • イフガオ族の棚田

2022/04/28 11:30:00 展示資料紹介 その⑥

  • Category展覧会
  • Posted by西村
明日からGW、ゴールデンなウィークです。10連休という方もいらっしゃるのではないでしょうか。まだまだ海外旅行はちょっと…と思われる方も、こちらのブログでちょこっと海外な気分を味わっていただけたらなぁと思います。

こんにちは! 国際文化資料館の西村です。

今回は、「かご」をご紹介したいと思います。宮武辰夫は、オーストロネシア語圏と呼ばれる地域、台湾、インドネシア、フィリピン、パプア・ニューギニアにて収集を行いました。特に、インドネシア、フィリピン、台湾では多くの「かご」を入手し、持ち帰りました。今でも十分な存在感があるこれらの美しい品々のうち、フィリピン「イフガオ族の飯籠」をご紹介したいと思います。

イフガオ族は、フィリピンのルソン島北部の山岳地帯に住まう人々です。この地域は、フィリピンでも有数の稲作地帯であり、美しい棚田でも知られています。現在は、世界遺産にも登録されていて、多くの観光客が訪れているそうです。

さて、写真①の籠は、彼らがご飯を入れるための飯籠です。大きさは大小さまざまあり、手作りなので形にも少しづつ変化が見られますが、おおむね写真のような形で、蓋と提げるためのひもがついています。使い込まれているので、飴色をしています。

宮武もこの色と形にほれ込んだようですが、籠の中のご飯がなくなるまでは譲ってもらえなかったため、持っていた缶詰を分け合って中身を一緒に食べてから、譲ってもらった、と自著の中でつづっています。

写真②はイフガオ族がすむ家、③はイフガオ族の男性ですが、身に着けているものは褌のみです。宮武によれば、「盛装」とのこと。小わきに飯籠を抱えている人も見えます。

宮武による『世界原始民藝図集』の付録「世界に原始藝術を探る」には、入手の事情も織り込まれていて、当時の人々との関係性を垣間見ることができます。
まだまだいろいろな「かご」がありますが、それはまた次回に。

資料館は、5月8日までお休みになります。本ブログもしばしお休みをいただきます。9日には展覧会・ブログともに再開いたします。
では、また。よい休日をお過ごしくださいませ。
  • 写真①「イフガオ族の飯籠」
  • 写真② イフガオ族の家々
  • 写真③ イフガオ族

2022/04/27 10:30:00 展示資料紹介 その⑤

  • Category展覧会
  • Posted by西村
ここのところの雨模様で、なかなか気持ちが上がりませんが、みなさんは雨の日をどのように楽しんでおられますでしょうか?

こんにちは! 資料館の西村です。

今回は、台湾南部の山間部に住まうパイワン族についてご紹介したいと思います。
パイワン族は、木彫や染織に優れ、祖先を重んじ、百歩蛇(ひゃっぽだ)の伝説で知られています。
資料館では前回ご紹介したヤミ族の資料についで、パイワン族の資料が多くみられます。

彼らが信仰する百歩蛇は、少し前にニュースでも名前が出たことがありましたが、噛まれると百歩歩くうちに死ぬといわれるほどの猛毒を持つ蛇です。体部に上から見ると菱形の美しい模様があります。

ところで、パイワン族の人々がすむ家は、石造りで、屋根は板状の石を重ねて張っています。
この屋根の張り方は、百歩蛇の鱗の重なりから発想したものと考えられています。生活用具の様々な部分に、百歩蛇の体の模様を図案化したり、そのものを彫り込んだりしています。

写真①は、プンティ村の一場面。右端に見えるのが住まいです。石造りで、薄い板状の石で屋根が張られています。地下には、家族のお墓があったりします。

写真②は、展示中の櫛です。祖先信仰がある民族ですので、大きく精霊が彫り込まれていますが、櫛の周辺には菱形の連続文様が彫り込まれていますが、これは百歩蛇を上から見た時の模様を図案化したものです。

写真③は、今回展示していませんが、木製の匙で、持ち手のところがまさに百歩蛇!

櫛は髪をすくときに、匙は食物を体に入れるときに、祖先や百歩蛇の守りを体内に取り入れ、それぞれへの感謝を常に感じているのでしょう。


今回は、前回に引き続き、台湾の資料をご紹介しました。

次回もお楽しみに!

  • 写真① パイワン族 プンティ村
  • 写真② 櫛
  • 写真③ 木製匙

2022/04/25 11:20:00 展示資料紹介 その④

  • Category展覧会
  • Posted by西村
こんにちは!
年々、よい季節がどんどん短くなっているように感じる西村です。
もうすこしゆっくり季節が移り変わってほしいものです。

さて、展示資料紹介の4回目は、台湾のヤミ族をご紹介します。
ヤミ族という名称は日本人の鳥居龍蔵が名付けたものとされています。本来はタオ族といいます。「タオ」とは「人」という意味だそうです。
今回の展覧会では、宮武の記述に従って、ヤミ族と表記します。
台湾本島の南東に、蘭嶼(ランユィ)という孤島がありますが、ここに住まう民族です。

現在台湾では16の原住民族が認められていて、台湾本島に住まう原住民族は首狩りの習俗がありましたが、このヤミ族だけは、首狩りをしていなかった民族です。
今回の展覧会では展示できませんでしたが、資料館は、このヤミ族が使う2~3人乗りの「タタラ」と呼ばれる舟を収蔵しています。ここでは、その模型と、舟に彩色をしているところの写真をご紹介します。

宮武は、ヤミ族の舟について、自著「世界原始藝術図集」の別冊「世界に原始芸術を探る」の中で、次のように解説しています。
「…舟の外側には、精細を極めた彫刻が、白、黒、朱の三彩で立派に施されてあるが、ママオグと呼ぶ怪奇な人像が手をつないで居る連続文様が横にずっと並んで居て、その上部と下部には三角形の模様が細々と横に連なって居る。又舳と艫の部分には「マタ・ノ・タタラ」―つまり「舟の眼」と称するものが刻まれてある。」

また、舟の構造についても次のように述べています。
「…元来原始人の舟はその殆どが大木を刳って造ったカヌーであるが、このヤミ族の舟は立派に龍骨を基礎として約八つの部分を組み合わせている。」

現在、この島へは台頭から飛行機や船で行くことができるようです。
西村も一度訪れてみたいところの一つです。

次回は同じく台湾のパイワン族についてご紹介しようと思います。

どうぞお楽しみに!
  • ヤミ族の舟
  • 舟の彩色
  • 舟の模型

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