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ブラジルポルトガル語学科ブログ RSS

2018/09/23 17:40:00 ポルトガル人の特技は農業

  • Categoryポルトガルのニュース
  • Posted by住田 育法
 2018年夏、ポルトガルを訪問し、友人たちと風景の中の植物についておしゃべりしました。

 西は大西洋、南はアフリカに面したイベリア半島のポルトガル人は、大航海時代に熱帯を「発見」し、その豊かな「果実」を世界に伝えました。

 1992年にポルトガル人のジョゼ-・エドゥアルド・メンデス・フェランさんがマカオで出版した『植物の冒険とポルトガル人の地理上の発見 (A aventura das plantas e descobrimentos portugueses)』によると、アボガドやピーナッツ、バニラ、グアバ、トマトは中米原産、パイナップルやカジューは南米、チョコレートの原料のカカオはカリブ海に面した南米、パッションフルーツは中南米、パパイアがアンデス地域の原産です。
 ポルトガル人が日本に伝えたジャガイモはジャワの芋、サツマイモは薩摩の芋、さらに南米のトウガラシは唐の辛子と呼ぶようになりましたが、いずれも農業が得意なポルトガル人が、はるか大洋の彼方から運んだのですね。マルメロもポルトガル人が長崎に伝えたそうです。

 大学教授である私のポルトガルの友人たちは、よく自宅の庭に植えられている果樹を話題にします。コインブラ大学文学部のルイス・レイス・トルガルさんは森に囲まれた自宅に果樹を植えています。多くのポルトガル人のように、オリーブ、イチジク、ブドウ、マルメロ (写真)、リンゴ、栗などです。コルクガシや松、オーク (写真) などもあります。山の松林は、その実を食用にします。

 ポルトガルはイベリア半島の六分の一の面積のとても小さな国です。コインブラを流れるモンデーゴ川の北の地域の農業は特に小規模で、得意なオリーブの生産も欧州連合の規格からすれば自給自足的な経営が主流です。

 テージョ川の南のアレン・テージョと呼ばれる地域にはコルクガシやオリーブなどの常緑樹が多く(写真)、大土地所有制による牧羊や小麦の栽培が支配的です。本学でポルトガル語を教えていたエドゥアルド・コール・デ・カルヴァーリョさんはこの地域出身です。姓のカルヴァーリョはオーク、日本語のナラの意味です。この季節、乾燥した草木にいるカタツムリを塩ゆでにして食べます。私は食べましたが、カルヴァーリョさんは嫌いだそうです。ともあれ、自然と共存する日本の「里山」を思わせる環境の中で、ポルトガルの友人たちと樹木や果実についておしゃべりすることはとても楽しい時間でした。
  • ルイス・レイス・トルガルさんと訪れたポンバル城の敷地に植えられていたマルメロ。
  • ポンバル城のオーク。幹はワインの樽の材料となりますね。
  • エドゥアルド・コール・デ・カルヴァーリョさんと訪れたアレン・テージョのコルクガシの風景。

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