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2016/02/03 14:50:00 大学院修了生の声5

  • Category大学院修了生の声
  • Posted by北川幸子
【吉田奈々さん(2015年3月 博士前期課程修了)】
京都外国語大学外国語学部日本語学科を卒業後、同大学大学院に進学。現在は日本語教材専門書店にお勤めで、日本語教材の出版や販売、教材に関連したイベントの企画運営等に携わっておられます。

北川:大学院進学を決めた理由は?

吉田さん:大学三年生の時に、ここ(京都外大)の留学制度を利用して、韓国仁川大学に留学しました。今思えば、そこで出会った日本語の先生に「大学で学ぶことの楽しさ」を教えてもらったことがきっかけだったのではないかと思っています。私は留学先の大学で日本語の授業のアシスタントに入っていたのですが、その中の1つに「上級日本語会話」という授業がありました。その授業は映画を見た後、その映画を題材にディスカッションをする授業でした。ディスカッションは、ただ、映画の感想を話し合うのではなく、映画という具体化されたストーリーの中から、この作品が伝えたいことは何かという抽象的な部分を、その映画が作成された背景を調べたり、映画と関係している宗教に関する文献を読んだりして議論し合うことが重視されていました。今思えば、文学が専門だった先生の掌でうまいこと転がされていたのだと思うのですが(笑)「あの映画のあのワンシーンにはどのような意味があったのか」と疑問に思ったことをきっかけに、自ら図書館に足を運び、調べ、自分の考えを膨らまし、言語化して伝えるという行為、そして、その過程を経ても必ず「これが答えだ!」というものがないというのがなんだか魅力的で楽しくて。あの時はじめて「本当の学問の楽しさ」に触れた気がしました。そこから「大学」という場所に魅力を感じ、「大学で働きたい!→働くためには大学院に行かなくてはいけない」というなんとも安易なんですが、そんな理由で大学院進学を決めました。

北川:大学院で取り組んだ研究テーマとその内容について教えてください。

吉田さん:作文の教材として使われる「モデル文」について研究しました。きっかけは、作文の授業のときに、教師がモデル文を学生さんに配付しても、回収した作文は、モデル文のような作文もあれば、モデル文とは全く異なった作文もあって、でも、教師が知りたい「モデル文が学生さん1人1人にどのような影響を与えたか」という部分は、出来上がった作文で想像するしかないという現状があると思いました。そこで、学生さんにモデル文を使用したタスクとインタビュー調査を行って、学生さんのモデル文に関する認識や使用実態を明らかにし、モデル文の「役割」について考えました。

北川:どんな結果が得られましたか。

吉田さん:表現や接続詞のバリエーションが少ない学生さんへの補助や、文章を構成する上での助けになるなど文章を産出するための補助輪的な役割があることは想像の範囲内だったのですが、その他にも、教師がモデル文を配付した意図を自分なりに考え、教師が何を望んでいるかを考えながら文章を産出する学生さんがいたり、良い評価を得るために、自己表現を抑えてあえてモデル文のように書いている学生さんがいたりなど、アンケートではなく「インタビュー」にしたからこそ得られた学生さんの「本音」も明らかになりました。「それは修論では書けないかな…」というような本音まで打ち明けてくれる学生さんもいて驚きましたが、そのような学生さんの「声」が届けられた論文になったのではないかと思います。

北川:二年間で一番大変だったことは?

吉田さん:量的研究ではなく、質的研究を手法にとった上で、できるだけ避けたかったのは、個々に焦点当てて調べた結果、色んな人がいて、色んな意見を得ることができました、人によってモデル文の役割もそれぞれでしたよ、ってゆう研究結果。でも、調査の人数が少ないので、結果を一般化することができないのも事実、その中で、「どのように結果をまとめるか」という論文の着地点に一番悩みました。日本語教育における質的研究の存在や意義とは一体何だろうと何度も考えたのが苦しい期間でしたね。

北川:大学院二年間での自分自身の成長をどのあたりに一番感じていますか。

吉田さん:視野がかなり広がったことだと思います。広がった視野とは、日本語教育が社会に貢献できる範囲や教育理念などです。それらは修論を書いた経験から得たものもありますが、多くは修論を執筆していく過程での、院生同士の勉強会や、学会・研究会に参加したこと、そして多くの先生にお会いして先生の発表や著書、お話に触れたことから得ていたと思います。

北川:では最後に今後の展望について教えてください。

吉田さん:色んな経験を積んで、オリジナリティのある先生になれたらいいなというのと、先生としての引き出しを増やすという意味も込めて日本語教材専門書店で働くことにしました。でも、大学で学ぶことの楽しさも忘れられないので、やはり将来は大学で日本語を教えたいです。その目標が達成できるよう、仕事も研究も頑張っていきたいと思います。

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