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掘れ惚れセントロアメリカDiary RSS

Profile
【ブログスタッフ】
“考古学と博物館学との仲介者” 南博史
“その弟子”植村まどかと深谷岬

【このブログについて】
京都外国語大学ラテンアメリカ研究所(http://www.kufs.ac.jp/ielak/)では、学内の国際文化資料館(http://www.kufs.ac.jp/umc/)との共同で行う新たな総合学術研究「アメリカ地中海文化圏研究」の一環として、2013年中米ニカラグア共和国マタガルパ県マティグアス郡をフィールドとする『プロジェクト・マティグアス』を開始しました。
このプロジェクトは、国際文化資料館館長、京都外国語大学ラテンアメリカ研究所研究員の南博史教授(考古学、博物館学)をリーダーに、マティグアス郡の中央にあって遺跡が広く分布するキラグア山周辺に「考古学と博物館学を仲介者とする実践的地域研究」を行っています。
つまり遺跡の学術的調査研究を背景として、考古学の成果を博物館学的手法によって地域に還元することで、また地域をミュージアムと見立てて博物館活動を行うことで、地域の課題解決と持続可能な地域社会を可能にする方法を具体的なモデルを提示し明らかにすることが目的としています。
現在、考古学調査を実施しているマティグアス郡ティエラブランカ地区にあるラスベガス遺跡は、約1万㎡の調査対象範囲のなかに約20のマウンド(直径5~10m、高さ1~2mの塚)と多数の集石遺構が確認されています。また、遺跡にはモノリートと呼ばれている長さ3mと4.5mの石柱が2点確認されており、その学術的価値の高さが注目されています。
今年の夏は、このマウンドの一つを発掘調査する予定ですので、こちらのブログより情報発信していきたいと思います! 現地説明会にて

2022/08/29 16:20:00 エルサルバドルへ~プライベート「マヤ」ミュージアムの展示作業への参加者募集!~

  • Categoryお知らせ
  • Posted by南 博史
 南です。メキシコシティから始まった2022夏期中米調査。いよいよエルサルバドルで現地調査とインタビューを開始しました。まずは故大井先生が2005年から取り組んだ(2000年3月まで)チャルチュアパ遺跡の中のカサブランカ地区にある遺跡公園の現状を見て廻りました。このプロジェクトで取り組んだピラミッド神殿の発掘調査と修復活動は、おもに1号と5号建造物です。とくにこの1号建造物の規模は、公園内の6基のうち3番目の大きさながらも、このプロジェクトによって往時の姿が想像できるようになりました。
 ちなみにチャルチュアパ遺跡は、メキシコ・グァテマラ・ホンジュラス・エルサルバドルを中心に栄えた古代メソアメリカ文明の先古典期前期とよばれる紀元前1000年紀にそのはじまりがあります。以降、後古典期とよばれる紀元後10世紀ころ~スペンイン侵入まで連綿と人々の活動の痕跡が残ります。現在、いくつかの考古学地区が設けられており、そのうちもっとも古く、もっとも大きなピラミッド神殿(高さ20mを越える)が残るのがエル・トラピチェ地区です。
 この地区にあるコーヒー農園フィンカ・サン・アントニオでは、故大井先生がグァテマラのカミナルフユ遺跡で調査をされたときに副団長として現場の指揮をとられた伊藤伸幸さん(現在、名古屋大学)が調査をされています。マヤ歴を刻んだ石彫としては、もっとも古い時期(7バクトゥーン:紀元前後)の資料群に含まれる小型の石彫が出土するなどの学術成果が注目です。
 さて、農園主のぺルドモさん夫妻のレセプション施設(予約制のカフェ・レストラン)には、展示室があります。ご夫妻が農園経営をされるなかで発見されたさまざまな遺物を収集されたものです。土器や土偶、石彫などが大量に収蔵展示されています。ご夫妻はこれらの資料をもっとわかりやすく展示したいと考えておられます。数年前からこの遺跡を「Ruta MAYA」というマヤの遺跡を巡る国際的観光ルートに含めるべく準備を進めておられることもあり、この展示室の充実はもっとも大切だと考えておられます。
 新型コロナウイルス感染拡大前、この施設のミュージアム化に向けて協力を求められていました。今後エルサルバドルでの考古学・博物館活動を再開していく中で、学芸員資格課程(でなくとも中米の考古学に興味のある)の学生さんに協力を求めることにしました。
 古代マヤ文明など新大陸の考古学になんとなく興味がありながら、遠い存在だなあと思っておられた方、この機会にぜひ活動に参加しませんか!もちろん現地調査に参加いただくためにはいくつかハードルはありますが、今まで何人もの先輩が参加してきており、それぞれのキャリアに何かの形で生かされています(今回、この調査に同行している杉岡さんも)。ぜひチャレンジしてみてください。
  • カサブランカ地区公園内の第1号建造物
  • エル・トラピチェ地区で発見された石碑群。表面が平らに加工された複数の石碑が集まっているのがわかる。
  • サンアントニオ農園の中にあるプライベートミュージアムオーナーのぺルドモさんご夫妻。とくに奥様が熱心に収集・展示されています。このボリューム感をとりいれた展示がご希望です(難しいなあ)

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