ページの先頭です。ページの本文へ

国際教養学科ブログ RSS

2017/09/03 00:00:00 エアライン便り 第一回<国際線グランドスタッフ>卒業生 大槻真子 / Message from Airline Staff ① (Ms. Mako Otsuki)

  • Category学生紹介
  • Posted by萬谷
現在、多数の京都外国語大学卒業生がエアライン業界で活躍しています。今回は「エアライン便り」第一回目として、大手日系航空会社で活躍中の2016年度卒業生、イタリア語学科 大槻真子さんのレポートを紹介します。

This report was provided by Ms. Mako Otsuki, who graduated from KUFS in Mar 2017, is now working for a Japanese major carrier as a customer service agent. She described her current job and the practical tips for a successful job hunting.

*********************************
エアライン便り 第一回 <国際線グランドスタッフ>

 私は2017年3月に京都外国語大学を卒業し、現在国際空港のグランドスタッフとして、国際線業務を担当しております。今回は研修や現在の業務、入社後の変化等に関して下記に記します。

1.グランドスタッフの業務(国際線)

 グランドスタッフの業務は主に、①空港内のチェックインカウンター、②出発・到着ゲート(搭乗口)、③オフィスで行う業務があります。主な違いとしては、チェックインカウンターが空港の出発ロビーのカウンターで行う業務であるのに対し、出発・到着ロビーには40のゲートがあり、建物も本館と別館に分かれているため、移動しながら業務を行うこともあることです。端から端のゲートに移動する際は約15分程度の距離を走って移動することも多々あります。
 オフィス業務に関しては、基本的にお客様の目に触れることはなく、主にデスクワークが中心となり、端末(予約システムを含めたコンピューター)を使用した各フライトの運航管理や、お客様情報の管理(車いす等、特別なお手伝いをご希望のお客様、VIP、特別食の手配等も含む)などがあります。これらのオフィス業務は入社後3~5年後の社員が経験を積んだのちに担当します。

1.1 <チェックインカウンター業務>

 国際線チェックインカウンターでは、出発に際してお客様の渡航書類(パスポート、航空券、ビザ(査証)等)に不備や期限切れが無いかを確認し、搭乗券の発券や、受託手荷物を預かり、搭乗手続きを行います。一見笑顔で接客しているイメージがありますが、実際には端末を操作しながら同時にお手荷物の数や中身を会話して確認するなど、同時進行でいくつもの作業を行う必要があり、スピーディーかつ正確な対応が求められます。
 各国の入国に必要な書類の種類は、国際状況や大統領令により変更になる場合があるので、その都度端末で最新の情報を確認し、乗り継ぎがある場合には乗継国と最終目的地の情報を確認します。入国書類等の不備によりINAD(Inadmissible Passenger、入国拒否旅客)が出た場合には、各航空会社の責任が問われ、国によっては多額の罰金が科せられることがあります。そのお客様を担当したグランドスタッフにも航空会社にも責任が問われますので、そうならないように入国書類確認には細心の注意を払う必要があります。

1.2<ゲート業務>

 ゲートでは、お客様がスムーズに搭乗できるようにご案内するなど、地上業務と運航乗務員の懸け橋として、必要な情報の共有や、時には機内に入り確認事項のチェックをしております。
 出発便では定時運航のためにオフィスやゲートと、また整備や、機内食など、関連部署、そして運航乗務員と連携を取りながら、搭乗手続きがお済でもゲートに来られていないお客様を探しながら空港内を走り回ることもあります。ご搭乗の際には、パスポートの確認や、機内持ち込みサイズを超えたお荷物がないかどうか等を確認しながら、定刻に出発できるよう、各自が注意を払いながら迅速な業務を担当しています。
 到着便は、遅延や問題が発生した場合でも全て一人で担当します。機内からSIM*の連絡があった場合には、その内容(機内食に異物が混入していた、ケガ、体調不良、お召し物が何らかの理由で汚れた等)に基づき、事前に準備をしてから到着予定の航空機へ向かいます。

(*Service Irregularly Message。通常のフライトとは異なる事例や問題が起こった場合に機内から地上へ無線を通じて発信される報告。たとえば機内食に異物が混入する、機内で異変が起こった、等、目的地到着後にフォローが必要な場合、報告される。)

2.入社後の研修

 4月に行われた入社式は、日本の航空会社らしく格納庫で行われ、沢山の報道陣の方々が来られていました。入社式後、企業理念や社会人としてのあり方を学ぶ、グループ全体の新入社員向けの研修が4日間行われ、グループ共通の基本教育・研修を通し安全対策や基本マナーを学ぶことで、社員一人ひとりが「お客様の命を預かっている」という責任を第一に考え、業務を遂行するという意識が芽生えました。また、憧れていた企業の社員になったという実感が沸き、社会人としての自覚が生まれました。
 入社後の各空港業務別研修では、トレーニングセンターでの座学が約三週間、OJT(On the Job Training, 現場での実地訓練)が8日間あります。最初に会社の歴史、現状、理念を学び、その後、グランドスタッフの専門教育が行われました。
 入社前と後では様々なギャップがありました。例えば、基本的にグランドスタッフ業務は対人サービスですが、実際業務を開始してみると、ご本人確認を始め、渡航書類の偽造の有無の確認、危険物を所持していないかの確認など、防犯面での安全を担う業務や定時運航の為の仕事が多く、時には安全を守るために、持ち込み荷物の制限やお座席のリクエストなど、やむを得ずお客様のご要望に添えないこともあります。そのような際にもお客様にご理解頂けるような説明と、ご要望に添えない分、他にできることを「代替案として提示する機転」が必要であることを実感しています。

3.勤務体系(シフト)と体調管理

 大学時代は実家暮らしでしたので、社会人となり初の一人暮らしを始め、現在は会社の寮に住み、自炊をしています。
 勤務は基本的に4日間連続の勤務(最初の2日が早番・残り2日が遅番)後に2日間の休日、計6日間のパターンの繰り返しです。公共交通機関がない時間帯の早番の出勤・遅番の帰宅は会社の手配したタクシーや、シャトルバスを利用します。
 早番と遅番という、普通の会社員とは異なる勤務時間で入社後に体調を崩す人がいると聞いていましたが、私は自炊でバランスの良い食事を摂ることで健康管理に気をつけ、また休日にしっかりと身体を休ませリラックスすることで、この勤務体系にも少しずつ慣れてきたように思います。

4.入社後の意識の変化

 入社前は、グランドスタッフの業務は「お客様に最高のサービスを提供するための仕事」であると考えていましたが、現在は上記に加え「保安要員」としての役割を強く感じています。たった一人の小さなミスが、お客様の命、航空機の運航、企業や航空産業全体、そして国の安全や国際関係を揺るがすことに結びつくという意識の下、日々責任感を持って働いております。
 業務に関しては、膨大な知識を要する点、全て英語という複雑な端末を限られた時間内に操作しなければならない点、広大な空港を走り回るための体力が必要な点など、「華やかな部分」との差異は多々あります。しかしながら、お客様から頂くお褒めのお言葉や、自分自身も飛行機を飛ばしている一員であることを実感するなど、やりがいも沢山あります。また学生のお客様に「グランドスタッフを目指しています」と直接言っていただく機会もあり、「空港の顔」という夢のある仕事だとも感じます。

 研修期間はOJTを含めて約1か月と短期間で、研修中は暗記力だけではなく、実際にカウンターに立ち端末を操作するなど、その知識を使い実践する能力も必要でした。訓練生であっても制服を着ている以上、お客様からは「プロの社員」として見られます。制服を着用し空港を歩いていると、航空会社に関係なく業務以外の様々な幅広い質問(銀行やお手洗いの場所、空港からの移動方法等)を受けることもあります。また、現場は常に忙しいため、いつまでも先輩に付きっきりで教えてもらえることはありません。疑問や問題は自分自身から積極的に聞いて解決するなどの自発的な行動と、一般の業務に加えて目的地の空港の知識や機内サービス・会社独自のサービス・航空券・マイレージやビザの知識も求められますので、入社したら終わり、ではなく、入社後も常に学び続ける姿勢が必要だと感じています。

 コンプライアンスについては大変厳しい規則があります。航空業界は、世間から注目されやすい業界であり、一社員である私たちの行動たった一つが「会社全体イメージ」として評価されてしまうこともあります。また、出勤時や帰宅時の会話や態度、服装までも常に「見られている」という意識を持ち、気を遣わなければいけません。一人の軽率な行動が、時には会社の名前に傷をつけるだけではなく、大切なお客様の信頼を失うことになりかねません。
 例として、制服を着て撮影した写真をSNSに掲載してはいけないことは当然ですが、業務内容や、航空会社の社員であるとわかる内容を掲載することも禁止されています。また、業務上、有名な方や、VIPの方を接客することもありますが、個人情報を第三者に話すことなども禁じられており、職務上知り得た情報、旅客リスト、個人情報管理には細心の注意を払い、入社後は航空会社社員としての「徹底した守秘義務の遵守」を常日頃から意識するようになりました。

 今後は訪日外国人旅行者2,000万人の政策目標や2020年東京オリンピック・パラリンピック開催やオープンスカイ推進のため、運航便の増加等の更なる変化の波と業務の多様化が予想されますが、日々謙虚に勉強することを怠らず、毎日の業務に真剣に取り組むことにより、プロとしての道を着実に進みたいと考えております。

5.グランドスタッフを目指す方々へ

 多くの方から質問を受ける語学力に関しては、国際線ですので日々接客や業務で英語を多用しますが、入社後英会話の教育は一切ありません。また研修中は覚えることが山ほどあり、余裕が全くないため、敬語やマナー、実務的な語学を含め、大学時代に準備できることはできる限りしておくべきだと入社後改めて感じました。

 私は学生時代、エアラインスタディープログラムや萬谷先生の航空関連の講義で、実践的な内容を学びました。その結果、周りの同期よりもすでに知っている基礎知識が多くあり、その分、研修中にその他の発展的な知識を身に付けることができました。入社前の事前学習資料は、専門用語のほぼ全てが英語で、インターネットや辞書を使って自分で調べてもわからないことが多々ありましたので、卒業後も萬谷先生の研究室へ通って学習しておいたことが大変役に立ちました。京都外大には、学生のうちから航空業界について学べる機会が多くありますので、是非、有意義な学生生活を送っていただけたらと思います。

 航空会社は華やかなイメージが強い半面、外からは伺い知ることのできない特殊な業界であり、体力面も精神面も自己管理能力が求められるという厳しい面がありますが、その分、他業界では経験できないことや、やりがい、充実感も多くあります。同期入社の仲間とは事前研修等で入社前から仲良くなり、一緒に旅行をするなど、お互い助け合い、情報交換をしながら日々楽しく過ごしています。また入社後は自社便や提携航空会社の航空券が無料もしくは割安で利用できるなどの福利厚生もあり、休日を利用して海外へ行く機会にも恵まれていると思います。
 新卒・既卒/日系・外資系共に受験チャンスも多々ありますので、グランドスタッフを目指しておられる方は最後まで諦めず、多くの方に夢を叶えていただけたら、と心から願っております。

京都外国語大学イタリア語学科2017年3月卒業 大槻 真子

Page top