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京都外国語大学英米語学科 RSS

2024/05/20 10:10:00 Speech to Textの研究ー日本翻訳者協会(JAT)イベント「プロジェクト神戸」で本学学生が研究支援をしてくれました

  • Category学生ニュース
  • Posted by英米語学科
国際規格を扱う国際組織のISO(1947年設立)が設置した言語を扱うTC37委員会と言われる委員会では、コミュニティ通訳の一分野として手話通訳を検討する中で、欧州の空港窓口で利用が広がりつつあるSpeech to Textについても検討されていました。ワーキンググループの設立はもう少し時間がかかりそうです。

一方、本学でも Teams のビデオ会議機能でリアルタイムのスクリプト作成が可能になっており、Speech to Textは実際の会議で活用されることが増えてきています。さらに、ChatGPT、Claude、GeminiなどのAIアシスタントツールを活用することで、膨大な量の会議録をより効率的に作成できるようになっています。

このような Speech to Textの動向を受けて、本学の学生たちが日本翻訳者協会(JAT)が主催した「プロジェクト神戸」で、発表する教員の研究支援に同協会理事会の許可をいただき、参加する機会がありました。

コロナ禍により一時的に仕事が激減したフリーランスの通訳者の方々が、リモート会議通訳の普及などを経て、ここ最近では対面案件も復活し、むしろコロナ以前より忙しくなっているという発表もありました。また、リモートと対面のハイブリッド型会議も登場し、通訳者にはITリテラシーが不可欠になっているとの発表者のコメントや参加者からの意見がありました。

このような中、特に地方在住の通訳者がどのように仕事を開拓し、どのようなスキルが必要かについて、JAT理事長をはじめ、海外から駆けつけた理事の方々からのご提案がありました。
また、本学教員の発表では、翻訳の品質管理の観点から、組織内での翻訳スタンダードの重要性や、ChatGPTなどの生成AI技術の活用など、翻訳業界を取り巻く変化についても会場内の参加者によるグループディスカッションの時間に議論されていました。

また本学からは、1年生3名と2年生1名が研究支援として参加しました。1年生3名は日本語による口頭発表のノートテイキングを、2年生1名は英語による口頭発表のノートテイキングを担当しました。教員がスマートフォンやiPadで録音した発表内容を特定のアプリケーションで文書化し、学生たちのノートテイキングと比較分析するという取り組みです。

その結果、その時に利用した口頭発表をSpeech to Textで文書化するアプリケーションでは30分ほどかかり、通常本学で利用するリアルタイムスクリプトと比べ文書化に遅延が発生しました。ノートテイキングとの比較でも、手話通訳の代替としてはさらに精度の高い、迅速な処理が必要であるという結論に至りました。

こうした貴重な知見を得られたのも、発表者の花岡千鶴子様、Jay Judge様、渡辺ユカリ様をはじめ、JAT関係者の皆様のご理解とご協力があったからこそです。また、研究支援に尽力してくれた本学の3年生(当時2年生)の戸川明日美さん、2年生(当時1年生)木寺桜さん、宮本京香さん、市野綾那さんに感謝申し上げます。

今後、Speech to Textの技術はさらに進化し、様々な場面での活用が期待されます。その一方で、プライバシーやセキュリティ面での課題にも注意を払う必要があるでしょう。通訳分野でのSpeech to Textの未来像は、今後の倫理的な配慮も兼ねた技術革新次第といえそうです。

【お詫び】教員のiPhone、iPadは録音に使われたため、写真撮影ができませんでした。

英米語学科 佐藤晶子

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