2022/07/20 16:20:00 【国際貢献】【グローバルキャリア】10/7講演会—本学卒業生・趙悠蓮さん (国境なき医師団)
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英米語学科・キャリア英語科では、毎年、外部から講師を招き、講演会を開催しています。今年は、1999年にノーベル平和賞を受賞したNGO「国境なき医師団」より、本学卒業生の趙悠蓮(チョウ・ユリョン)さんをお迎えします。
日時:10月7日(金)5講時(17:30-19:10)
会場: 本学1号館7階 171教室
参加料:無料
参加申込:不要
形式:対面のみ(動画配信はありません)
*学外の一般の方々もぜひお越しください。学外の方は以下のメールアドレスより事前にご予約をお願いします。
*会場が満席の場合、入場をお断りする場合があります。ご了承ください。
趙さんは、2009年に本学卒業後、国内・海外の企業で勤務された後、国境なき医師団で活躍されました。国際貢献に関心のある方はもちろん、将来、国際企業・機関などグローバルなキャリア構築の面でも参考になるお話をしていただく予定です。ふるってご参加ください!
なお、10/6(木)から10日(月)まで、大阪で、国境なき医師団主催のイベント「エンドレス・ジャーニー展」が開催されます。趙さんも参加される予定です。
お問合せ:英米語学科教員 ラムスデン多夏子(t_ramsde@kufs.ac.jp)
国境なき医師団(MSF)
アドミニストレータ― 趙 悠蓮(チョウ ユリョン)
京都外国語大学、外国語学部中国語学科2009年卒業。在学中より就労していた中国の貿易会社に就職後、2013年まで在職。主に営業やマーケティング、ブランディングなどを担当。その後、ロサンゼルスの出版社/広告代理店にてアカウントマネージャーとして広告制作やイベント企画に従事。2015年に帰国後は、外資系コンサルティング会社にてコンサルタントとしてあらゆる企業の課題解決に向き合う。それらの経験を活かし、2019年、国境なき医師団アドミニストレーターとして参画。2021年8月よりフィリピンのミンダナオ島、マラウィ市でのプロジェクトに初参加。約1年間の活動を終え帰国。7月からは東京大学ジャパン・バイオデザインのプロジェクトチームの一員として、新興国における医療課題に向き合う業務に従事しながら、国境なき医師団の広報活動などに参加。
国境なき医師団(MSF)
Médecins Sans Frontières/Doctors Without Borders
民間で非営利の医療・人道援助団体。紛争地や自然災害の被災地、貧困地域などで危機に瀕する人びとに、独立・中立・公平な立場で緊急医療援助を届けている。現在、世界約88の国と地域で、医師や看護師をはじめ4 万5000人のスタッフが活動(2020年実績)。1971年にフランスで設立され、1992 年に日本事務局が発足。
以下、「国際NGO論」の授業をご担当の佐々木豊先生に、国際協力や人道支援のNGOについて解説いただきました。
「国境なき医師団」― このブログを読んでいる皆さんの中には、世界的に有名なこの国際主義的民間団体の名前をどこかで聞いたことがある人もいることと思います。世界中の被災地や戦災地で医療/人道援助活動を展開する「国境なき医師団」は、1999年にノーベル平和賞を受賞したことが象徴したように、その活動が最も高く評価されている国際NGOの一つであると言えるでしょう。
ところで、皆さんは“国際NGO”と聞いて、その定義を説明することができるでしょうか。まず"NGO"とは、"non-governmental organization"の頭字語(略語)です。日本語では、「非政府組織(=政府組織に非ず)」と訳されています。つまり「~ではない」組織という、遠回しの言い方をわざわざしているのです。それは以下のような理由に依ります。
国際関係で“NGO”という言葉が広く使われるようになったのは、1945年に設立された国際連合の憲章(the United Nations Charter) 第71条の条文がきっかけと言われています。この条文は次のように書かれています。
Article 71
The Economic and Social Council may make suitable arrangements for consultation with non-governmental organizations which are concerned with matters within its competence. ... . (経済社会理事会は、その権限内にある事項に関係のある非政府組織と協議するために適当な取り決めを行うことができる)
つまり、国際連合という政府間組織[intergovernmental organization](国連は、各国政府の代表が集まって作っている組織ですね)の一理事会である経済社会理事会(経済、人口、開発、ジェンダー、公衆衛生等の問題を主に討議する機関)と協議する資格を持つ民間の団体、という位置づけをされたのです。そのような訳で、民間の立場から、特に国連の経済社会理事会と協議資格をもつ団体が"NGO"と呼ばれるようになりました。しかしその後、開発支援、貧困削減、環境保全、人権保護、軍縮/平和などさまざまなグローバルイシューズ(地球的問題群)が顕在化する中、各国政府や国際機関と異なる民間の[private] の立場から、国境/人種/民族/宗教の壁を越えて、営利を目的とせずに自発的に(ボランタリー [voluntary]に)これらの問題に取り組む各国市民から構成される団体が"NGO"と呼ばれるようになりました。そしてまた、各国にその支部や事務局をもつ"NGO"を"INGO"、すなわち"international non-governmental organization"と呼ぶようになりました。
でも、既述のように、「~ではない」組織という言い方は、いわば組織の性格を“裏”から言っているようなもので、積極的な定義とはいえないですよね。それ故、今日では「非政府組織」のことを、「市民社会組織[Civil Society Organization, CSO]」とか「民間ボランタリー組織(Private Voluntary Organizations(PVO)」」とか呼んだりしています。今日、各国の市民の連帯の下、国籍や民族/人種、宗教如何に拘わらず、“地球村”に住む全ての人々がお互いに助け合って「地球(公)益」を推進することが望まれる中、「国境なき医師団」のような人的にも財政的にも大きな資源を持つ民間団体が活躍する国際的な公共空間が世界大に広がっているのです。最後に、「国境なき医師団」は、現在、焦眉の国際問題となっているウクライナ戦争の最中、ウクライナ国内や周辺国に医療物資の提供や移動診療所の設置、また現地の医師に対する研修活動等を行っていることを付記しておきます。今回の講演会の前に、「国境なき医師団日本」のHPを是非参照してみて下さい。
日時:10月7日(金)5講時(17:30-19:10)
会場: 本学1号館7階 171教室
参加料:無料
参加申込:不要
形式:対面のみ(動画配信はありません)
*学外の一般の方々もぜひお越しください。学外の方は以下のメールアドレスより事前にご予約をお願いします。
*会場が満席の場合、入場をお断りする場合があります。ご了承ください。
趙さんは、2009年に本学卒業後、国内・海外の企業で勤務された後、国境なき医師団で活躍されました。国際貢献に関心のある方はもちろん、将来、国際企業・機関などグローバルなキャリア構築の面でも参考になるお話をしていただく予定です。ふるってご参加ください!
なお、10/6(木)から10日(月)まで、大阪で、国境なき医師団主催のイベント「エンドレス・ジャーニー展」が開催されます。趙さんも参加される予定です。
お問合せ:英米語学科教員 ラムスデン多夏子(t_ramsde@kufs.ac.jp)
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国境なき医師団(MSF)
アドミニストレータ― 趙 悠蓮(チョウ ユリョン)
京都外国語大学、外国語学部中国語学科2009年卒業。在学中より就労していた中国の貿易会社に就職後、2013年まで在職。主に営業やマーケティング、ブランディングなどを担当。その後、ロサンゼルスの出版社/広告代理店にてアカウントマネージャーとして広告制作やイベント企画に従事。2015年に帰国後は、外資系コンサルティング会社にてコンサルタントとしてあらゆる企業の課題解決に向き合う。それらの経験を活かし、2019年、国境なき医師団アドミニストレーターとして参画。2021年8月よりフィリピンのミンダナオ島、マラウィ市でのプロジェクトに初参加。約1年間の活動を終え帰国。7月からは東京大学ジャパン・バイオデザインのプロジェクトチームの一員として、新興国における医療課題に向き合う業務に従事しながら、国境なき医師団の広報活動などに参加。
国境なき医師団(MSF)
Médecins Sans Frontières/Doctors Without Borders
民間で非営利の医療・人道援助団体。紛争地や自然災害の被災地、貧困地域などで危機に瀕する人びとに、独立・中立・公平な立場で緊急医療援助を届けている。現在、世界約88の国と地域で、医師や看護師をはじめ4 万5000人のスタッフが活動(2020年実績)。1971年にフランスで設立され、1992 年に日本事務局が発足。
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以下、「国際NGO論」の授業をご担当の佐々木豊先生に、国際協力や人道支援のNGOについて解説いただきました。
「国境なき医師団」― このブログを読んでいる皆さんの中には、世界的に有名なこの国際主義的民間団体の名前をどこかで聞いたことがある人もいることと思います。世界中の被災地や戦災地で医療/人道援助活動を展開する「国境なき医師団」は、1999年にノーベル平和賞を受賞したことが象徴したように、その活動が最も高く評価されている国際NGOの一つであると言えるでしょう。
ところで、皆さんは“国際NGO”と聞いて、その定義を説明することができるでしょうか。まず"NGO"とは、"non-governmental organization"の頭字語(略語)です。日本語では、「非政府組織(=政府組織に非ず)」と訳されています。つまり「~ではない」組織という、遠回しの言い方をわざわざしているのです。それは以下のような理由に依ります。
国際関係で“NGO”という言葉が広く使われるようになったのは、1945年に設立された国際連合の憲章(the United Nations Charter) 第71条の条文がきっかけと言われています。この条文は次のように書かれています。
Article 71
The Economic and Social Council may make suitable arrangements for consultation with non-governmental organizations which are concerned with matters within its competence. ... . (経済社会理事会は、その権限内にある事項に関係のある非政府組織と協議するために適当な取り決めを行うことができる)
つまり、国際連合という政府間組織[intergovernmental organization](国連は、各国政府の代表が集まって作っている組織ですね)の一理事会である経済社会理事会(経済、人口、開発、ジェンダー、公衆衛生等の問題を主に討議する機関)と協議する資格を持つ民間の団体、という位置づけをされたのです。そのような訳で、民間の立場から、特に国連の経済社会理事会と協議資格をもつ団体が"NGO"と呼ばれるようになりました。しかしその後、開発支援、貧困削減、環境保全、人権保護、軍縮/平和などさまざまなグローバルイシューズ(地球的問題群)が顕在化する中、各国政府や国際機関と異なる民間の[private] の立場から、国境/人種/民族/宗教の壁を越えて、営利を目的とせずに自発的に(ボランタリー [voluntary]に)これらの問題に取り組む各国市民から構成される団体が"NGO"と呼ばれるようになりました。そしてまた、各国にその支部や事務局をもつ"NGO"を"INGO"、すなわち"international non-governmental organization"と呼ぶようになりました。
でも、既述のように、「~ではない」組織という言い方は、いわば組織の性格を“裏”から言っているようなもので、積極的な定義とはいえないですよね。それ故、今日では「非政府組織」のことを、「市民社会組織[Civil Society Organization, CSO]」とか「民間ボランタリー組織(Private Voluntary Organizations(PVO)」」とか呼んだりしています。今日、各国の市民の連帯の下、国籍や民族/人種、宗教如何に拘わらず、“地球村”に住む全ての人々がお互いに助け合って「地球(公)益」を推進することが望まれる中、「国境なき医師団」のような人的にも財政的にも大きな資源を持つ民間団体が活躍する国際的な公共空間が世界大に広がっているのです。最後に、「国境なき医師団」は、現在、焦眉の国際問題となっているウクライナ戦争の最中、ウクライナ国内や周辺国に医療物資の提供や移動診療所の設置、また現地の医師に対する研修活動等を行っていることを付記しておきます。今回の講演会の前に、「国境なき医師団日本」のHPを是非参照してみて下さい。