京都外国語大学
 菅 英輝 研究室

  
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 科研「冷戦後東アジア国際秩序の変動と秩序形成の総合的研究-パワーと歴史認識の交錯」
 基盤研究(A) 平成19年度~21年度
 
研究目的
 本研究プロジェクトは、歴史摩擦をめぐる諸問題を実証的に検証すると同時に、
東アジア国際政治の構造変動の観点を重視し、パワー、ナショナリズム、歴史摩擦の交錯の視点から、
東アジアの秩序形成への影響や問題解決の糸口を探ることを目指す。
以上の目的を達成するために、3つのテーマを設定する。
(1)東アジア国際関係の構造変動と歴史問題の交錯の分析と考察
   国際関係の視点から歴史問題に接近し、歴史認識とパワーの交錯に焦点をあてる。
   歴史摩擦と東アジアの構造的変化との相互作用がこの地域の秩序形成にいかなる影響を及ぼしているかを
   解明する。 
(2)歴史認識と市民社会の比較考察-市民社会の特徴・成熟度と歴史認識の有り様との関連を分析し、
   歴史摩擦のメカニズムと原因の解明および、この問題が東アジアの地域秩序に及ぼす影響を検討する。
(3)歴史認識と地域主義の考察-歴史摩擦を地域主義形成の文脈で考察し、
   歴史摩擦と不健全なナショナリズムの台頭を「埋め込む」ための枠組みの形成を探求する。
1. The history question has been a subject of historical studies for many years. In more recent years,
however, it has become an important subject for research among diplomatic historians and international
relations scholars as well. Prime Minister Shinzo Abe's visit to China and Korea was no more than
a stop gap to the worsening relations between Japan and other Asian countries, and the history question
remains potential sources of discord that would seriously affect the peace and stability in this region.
In addition, the history frictions are beginning to affect US-Japan relations in a
negative manner. If mismanaged, they will have a destabilizing impact on the East Asian order.
It must be noted that the history question has been evolving in tandem with the structural changes
that has been taking place in East Asia for the past two decade. The linkage of the history frictions
with the changing relations of power in the region has made the current history question qualitatively
different from the history controversy of the mid-1980s. Both North Korea's nuclear weapons
development issue and the rise of unhealthy, intolerant nationalism in the region have also made
the history problem more complicated than ever.
2. Given the importance of the changing power relations in East Asia, this project intends to examine
various aspects of the history question by analyzing the interactions of power, nationalism and history
frictions. In particular, it will examine various impacts on the East Asian order and probe into opportunities
to promote mutual understanding and historical reconciliation.
3. With the above objectives in mind, we will concentrate on three major aspects of the research topics:
(1) analysis and examination of the interactions between the history frictions and the changing power
  relations in the region, 
(2) a comparative examination of the relations between the history question and different conditions of
civil societies in the countries concerned, and
(3) examination and analysis of the history question and nationalism in various types of regionalism
and regional cooperation that are developing in the region.
4. The Features and Significance of the Project
(1) The project does not intend to look into various individual issues derving from the history question
such as prime minister's visit to the Yasukuni Shrine, the history textbook controversy, war crimes and etc.
Instead, the history question from an international relations perspective, focusing on the interactions
between the history frictions and power. Starting from an understanding that the post-Cold War
history question is qualitatively different from the history controversy of the mid-1980s, the project
members will analyze the interactions between the history frictions and the structural changes occuring
in the East Asian international system and their impacts on the East Asia order.
(2) The project approaches the history question from a civil soceity perspective. So the project members
will analyze relevant aspects and conditions of civil societies in Japan, China and Korea and identify
mechanisms of recurring history frictions. They will also exmine what kind of relationship exist between
varying degrees of maturity in the civil societies and the history frictions and explore some of the possibilities
that an emerging transnational civil society in the region will offer for the promotion of mutual understanding
and historical reconciliatiton.
(3) The project seeks to explore possibilities of sharing our understanding of the historical issues in
the Asia-Pacific, given the growing space of transnational civil society through cross-border movements
of people, goods, money and information. The frictions and ill-feelings caused by the history question
have given rise to the unhealthy nationalism among the countries in East Asia. As a result, the exclusive
nationalistic feelings, coupled with Sino-Japanese competition for leadership in the region,
are likely to draw East Asian international relations into the complex action-reaction cycles
of acrimony. It is quite important, therefore, to explore a transnational space such as
overlapping layers of regionalism that will contain or ''embed'' both the history frictions and intolerant
nationalism emerging in the region.
メンバー
 氏名  所属機関  現在の専門  役割分担
 研究代表者
 菅 英輝 西南女学院大学
人文学部 
国際政治学 総括・冷戦後の東アジア国際関係の
地政学的変動と歴史摩擦
 研究分担者
初瀬 龍平 京都女子大学
現代社会学部
国際関係論 戦争原因論と戦争責任論
-アジア主義の場合
土佐 弘之 神戸大学
国際協力研究科
国際関係論 アジアの地域主義における
アイデンティティと記憶の政治
李 弘杓 九州大学
法学研究院
東アジア国際関係 中国におけるナショナリズムの台頭と
日中歴史摩擦
鄭 敬娥 大分大学
教育福祉学部
東アジア国際関係 日韓正常化交渉と歴史認識をめぐる
諸問題
石田 正治 九州大学
法学研究院
国際政治学 日本のナショナリズムと歴史認識
藤本 博 南山大学
外国語学部
アメリカ外交史 アジア太平洋戦争とヴェトナム戦争に
おける日米歴史認識の比較
中野 聡 一橋大学
社会学研究科
国際関係史 アセアンの歴史体験と東アジア共同体形成
におけるアセアンの役割
滝田 賢治 中央大学
法学部
国際政治 東アジア共同体の形成と戦争の記憶
伊藤 裕子 亜細亜大学
国際関係学部
米比関係史 占領体験の記憶の比較研究
-米国による日本占領とフィリピン占領の場合
秋田 茂 大阪大学
文学研究科
グローバルヒストリー 東アジアにおける脱植民地化と歴史認識
-グローバルヒストリーの文脈から
海外共同研究者
マイク・モチヅキ ジョージワシントン大学(米国)   東アジアの歴史摩擦に対する米国の立場と役割、
それが日米関係に及ぼす影響
クリストファー・ヒューズ ウォーリック大学(英国)   東アジア安全保障と歴史摩擦
―米韓、日米同盟と中国のパワー台頭を中心に
李元徳 国民大学(韓国)   歴史摩擦の比較研究―日韓、日中、韓中のケース
リュー・シン カリフォルニア大学バークレー校(米国)   日中における戦争の記憶と和解
―アイデンティティをめぐる葛藤
歩 平 中国社会科学院近代史研究所(中国)   日中の歴史教科書と歴史教育の比較研究
アドバイザー
ブルース・カミングス シカゴ大学(米国)    
 
研究会
2007年度 
●第一回研究会 
日時 2007年7月1日(日) 13:00~19:00
場所 九州大学六本松地区 本館二階第二会議室
協議事項    1.研究プロジェクトの趣旨説明
2.各分担者のテーマに関する説明と確定
3.今後のスケジュールと海外研究協力者および国内の知見提供者についての
相談、情報提供
●第二回研究会
日時  2007年9月29日(土) 13:00~18:10、9月30日(日) 9:00~13:00
場所 大阪大学 中之島センター
報告者・報告タイトル 1.土佐 弘之(神戸大学・国際協力研究科・教授)
「草の根アジア・ネットワークにおけるアイデンティティと記憶の政治」
2.生井 英考(共立女子大学・国際学部・教授)
「戦争映画―記憶の<貯蔵庫>または<培養器>としての」
3.高原 明生(東京大学・大学院法学政治学研究科・教授)
「中国の発展と東アジアの国際秩序の変化」
4.李弘杓(九州大学・大学院法学研究院・准教授)
「中国におけるナショナリズムの台頭と日中歴史摩擦」
●第三回研究会
日時  2007年11月3日(土) 13:00~19:00  11月4日(日) 9:00~13:00
場所 名古屋大学南山キャンパス 宗教文化研究所
報告者・報告タイトル 1.ハーバート・ビックス(米国 ビンガムトン大学・教授)
"The Study of Japanese and American War Crimes: Issues and Possibilities"
2.初瀬 龍平(京都女子大学・現代社会学部・教授)
「戦争犯罪・戦争原因・戦争責任―東京裁判論を例にして」
3.李元徳(韓国 国民大学校・社会科学学部国際関係学科・教授)
「東アジア歴史摩擦の比較研究:日韓、韓中、日中関係を中心に」
4.高嶋 伸欣(琉球大学・教育学部・教授)
「沖縄とアジアの民衆の戦争体験継承―その共通性と教科書問題の関連」
5.歩平(中国 社会科学院近代史研究所・所長)
「中日歴史共同研究に関する取り組みについて」
2008年度
●第一回研究会
日時 2008年7月5日(土) 13:00~18:10 7月6日(日)9:00~14:30
場所 北九州市立大学 北方キャンパス 本館5F会議室
報告者・報告タイトル 1.森實麻子(九州大学大学院 比較社会文化学府 博士後期課程修了)
 「冷戦後米中関係における中国観の見直しと『大国』としての中国認識」
2.鄭敬娥(大分大学 教育福祉科学部・准教授)
 「日韓会談関連文書公開の経緯と争点」
3.石田正治(九州大学大学院法学研究院・教授)
 「日本におけるナショナリズムと歴史認識―戦後初期の中学歴史教科書を
てがかりとして」
協議事項 各メンバーによる研究経過報告 および 今後の研究の進め方、
残された課題について
●第二回研究会
日時 2008年9月27日(土)9:00~17:10、9月28日(日)9:00~17:10、9月29日(月)9:30~17:30
場所 中国社会科学院 近代史研究所
報告者・報告タイトル 1.初瀬龍平(京都女子大学現代社会学部・教授)
「戦争犯罪・戦争原因・戦争責任―東京裁判論を例にして」
2.李弘杓(九州大学大学院法学研究院・准教授)
 「中国におけるナショナリズムの台頭と日中歴史摩擦」
3.藤本 博(南山大学外国語学部・教授)
「戦争の記憶と平和構築―ヴェトナム戦争の場合」
 4.菅 英輝(西南女学院大学人文学部・教授)
「東アジアにおける戦争と記憶―トランスナショナル・ヒストリーの可能性」
5.滝田賢治(中央大学法学部・教授)
 「東アジアにおける歴史摩擦の『埋め込み』―『共同体』構築と信頼醸成措置」
6.秋田 茂(大阪大学大学院文学研究科・教授)
 「コラボレーターの帝国・コモンウェルス認識と戦後国際秩序」
7.汪朝光(中国社会科学院近代史研究所・研究員)
「中日韓三国の歴史教科書の編集作業課程に見る問題点と今後の課題」
8.歩平(中国社会科学院近代史研究所・所長)
「日中歴史共同研究の経過と特徴についての総括」
見学 中国人民抗日戦争記念館(盧溝橋)見学
協議事項 今後の研究会の進め方 および 中国側との協力体制についての協議
●第三回研究会
日時  2008年11月1日(土) 13:00~18:10、11月2日(日)9:00~14:00
場所 11月1日 大分大学旦野原キャンパス 1F 地域交流室
11月2日 九州別府温泉杉乃井ホテル 会議室
報告者・報告タイトル 1.伊藤裕子(亜細亜大学・国際関係学部・准教授)
 「在比米軍基地に対するフィリピンの戦後認識の変容と国内外情勢」
2.中野聡(一橋大学・社会学研究科・教授)
 「東南アジアの国民国家形成と記憶」
3.Christopher Hughes(英国ウォーリック大学・准教授)
"Japanese revisionism, nationalism and globalization"
4.劉傑(早稲田大学・社会科学総合学術院・教授)
 「東アジア国際関係の中の歴史問題」
5.菅英輝(西南女学院大学・人文学部・教授)
「東アジアにおける戦争と記憶―トランスナショナル・ヒストリーの可能性」
協議事項 今後のプロジェクトのあり方、各論文の位置づけに関する協議
2009年度
●第一回研究会
日時 2009年7月4日(土) 13:00~ 18:10、7月5日(日) 9:30~14:40
場所 一橋大学 東キャンパス マーキュリータワー4F 3405教室
報告者・報告タイトル 1.Mike Mochizuki(ジョージワシントン大学・教授)
"The Unfinished Task of Historical Reconciliation in Northeast Asia:
Implications for Regional Security and U.S. Strategy"
 2.鄭美愛(韓国国民大学日本学研究所・研究教授)
「日韓市民社会の比較」
3.鄭敬娥(大分大学 教育福祉科学部・准教授)
「日韓国交正常化交渉をめぐる韓国内の葛藤―その基本構造の継続と変化をめぐって」
4.Robert McMahon(オハイオ州立大学・教授)
"America's 'History Problem':
The Vietnam War Controversy and the East Asian International Order"
5.林満紅(台湾・國史館 館長)
"Taiwan, Manchukuo, and the Sino-Japanese War"
●第二回研究会
日時・場所 ① 2009年9月21日(月)14:00~17:30、9月22日(火)9:00~18:30
於 梨花女子大学 地球史研究所
② 2009年9月23日(水)9:15~17:15 於 東北亜歴史財団
報告者・報告タイトル 9月21日~22日 於 梨花女子大学
1.朴 仁煇(梨花女子大学, 副教授)
「戦後北東アジア地域秩序の形成と発展-米国の役割」
コメンテーター 權 五信(江原大学校, 教授)
2.伊藤 裕子(亜細亜大学, 准教授)
「フィリピンの対米認識の変化と国際構造の変動」
コメンテーター 權 五信(江原大学校, 教授)
3.秋田 茂(大阪大学、教授)
「南アジアにおける脱植民地化と歴史認識―インドのコモンウェルス残留」
コメンテーター 李 玉順(Ocksoon LEE, 西江大学校, 教授)
4.初瀬 龍平(京都女子大学、教授)
「戦争責任論から戦後秩序論へ―東京裁判論の視点転換へ」
コメンテーター 李 玉順(西江大学校, 教授)
 5.鄭 秉峻(梨花女子大学, 教授)
「朝鮮戦争と東アジア地域秩序―サンフランシスコ平和条約を中心に」
コメンテーター 徐 輔赫(梨花女子大学, 研究教授)
6.鄭 敬娥(大分大学, 准教授)
「歴史認識をめぐる日韓摩擦の構造とその変容」
コメンテーター 金 佑俊(延世大学校、研究教授)
7.土佐 弘之(神戸大学、教授)
「戦争はどのように正当化されたか
     ―近代の超克プロジェクトとしての汎アジア主義・再考」
コメンテーター 金 佑俊(延世大学校、研究教授)
9月23日 於 東北亜歴史財団
1.滝田 賢治(中央大学、教授)
「プロセスとしての東アジア共同体―未来志向の歴史和解の可能性」
2.金みん奎(東北亜歴史財団, 研究員)(みんは日へんに文)
「東アジア史と自国史-共同教科書執筆への取り組みと関連して」
 3.李成制(東北亜歴史財団、研究員)
「古代韓中関係史を理解する二つの視角」   
●第三回研究会
日時・場所 ①2009年10月31日(土)13:00~18:10 北九州市立大学 本館E512会議室  
②2009年11月1日(日)9:00~14:00玄海ロイヤルホテル 会議室
報告者・報告タイトル 1.中野 聡(一橋大学大学院社会学研究科・教授)
「東南アジアの国民国家形成と記憶/忘却」
 2.藤本 博(南山大学外国語学部・教授)
「『ソンミ』の記憶継承とトランスナショナルな『和解・平和』創造の可能性」
3.定形 衛(名古屋大学大学院法学研究科・教授)
「旧ユーゴスラヴィアにおける歴史認識の諸問題」
4.川島 真(東京大学大学院総合文化研究科・准教授)
「日中歴史認識問題の歴史と現状」
5.石田 正治(九州大学大学院法学研究院・教授)
「日本におけるナショナリズムと歴史認識
     ─戦後初期の中学歴史教科書をてがかりとして」