菅英輝(編著)
『東アジアの歴史摩擦と和解可能性
  −冷戦後の国際秩序と歴史認識をめぐる諸問題』
凱風社(2011年)
(ISBN 978-4-7736-3504-1)。
目次
総論 冷戦後東アジア国際関係の構造変動と歴史和解
     パワー、ナショナリズム、市民社会、歴史摩擦の交錯 (西南女学院大学教授 菅英輝)
 はじめに
 1 国家間のパワー・バランスにおける構造変化と歴史摩擦
 2 サブナショナルなレベルでの構造変化
 3 本書における各論文の位置づけ
 4 東アジアにおける歴史和解の可能性


第T部 日本における歴史認識をめぐる諸問題
 第1章 戦争責任論から戦後秩序論へ
       東京裁判論の視点転換へ (京都女子大学教授 初瀬龍平)
  はじめに
  1 東京裁判の概観
  2 戦争原因をどう考えるか
  3 戦争責任をどう考えるか
  4 戦争犯罪と戦争責任
  5 戦争原因と戦争責任
  6 国際裁判のアポリアと国際システム認識
  7 戦争責任と戦後秩序
  8 戦後処理をどう考えるか
  終わりに

 第2章 戦争犯罪とダブル・スタンダード
       アジア太平洋戦争の遺産 (ビンガムトン大学教授 ハーバート・ビックス)
  はじめに
  1 東京裁判に関する米国側背景
  2 東京裁判と米国流「法の支配」
  3 東京裁判の功罪と米国のダブル・スタンダード
  おわりにー東京裁判の遺産と米国にとっての今日的含意

 第3章 戦争はどのように正当化されてきたか
       汎アジア主義の思想との関連で (神戸大学教授 土佐弘之)
  はじめに
  1 優位性の逆転―西欧中心的「普遍主義」の成立
  2 西欧的近代の超克と汎アジア主義のレトリック
  3 汎アジア主義に見られる暴力的パターナリズムの論理
  むすびにかえて

 第4章 ナショナリズムと歴史認識 (九州大学教授 石田正治)
  はじめに
  1 ナショナリズムの「公定性」
  2 ナショナリズムと歴史叙述
  3 日本ナショナリズムの公定性
  4 『中学日本史』の歴史叙述
  5 『新編 新しい歴史教科書』について
  結語

 第5章 修正主義、ナショナリズム、グローバリゼーション (ウォーリック大学教授 クリストファー・ヒューズ)
  はじめに
  1 戦後における日本の地域関係の構造
  2 日本・冷戦関係システム
  3 変容する日本の国際関係構造と国内政策の形成および二国間システムの終焉
  4 中国と二つの朝鮮との、日本の新たな歴史の関係
  結論―日本、歴史問題と地域における今後の結びつき

第U部 変容する東アジア秩序と歴史摩擦
 第6章 歴史認識をめぐる日韓摩擦の構造とその変容 (大分大学准教授 鄭敬娥)
  はじめに
  1 歴史認識をめぐる対立
  2 歴史「清算」の処理過程
  3 ポスト冷戦期の構造的変化と「歴史摩擦」
  歴史摩擦を乗り越えるのには―結びにかえて

 第7章 自由社刊2009年度中学歴史教科書分析 (東北亜歴史財団研究委員 金みん奎)(みんは日へんに文)
  はじめに
  1 「近代」対外関係の叙述
  2 諸問題点―歪んだ国際観
  結び
 
 第8章 日中におけるナショナリズムの再台頭と歴史摩擦 (九州大学教授 李弘杓)
  問題提起
  1 日本におけるナショナリズムの再台頭―背景と現状
  2 中国におけるナショナリズムの再台頭―背景と現状
  3 日本歴史摩擦―過去、現在と未来
  結論 歴史摩擦が21世紀の日中関係に与える含意

 第9章 日中歴史問題の対話空間 (中国社会科学院近代史研究所長 歩平)
  はじめに
  1 侵略戦争なのか、「解放戦争」なのか―政治判断レベルの原則
  2 「被害」と「加害」―民衆レベルの戦争体験の相違
  3 必然性と偶然性―学術研究レベルの志向論理と研究方法
  4 歴史認識問題における三つのレベルの相互関係性と複雑性

第V部 歴史摩擦と歴史和解
 第10章 ◎東南アジア◎ 「忘却の共同体」の行方 (一橋大学教授 中野聡)
  はじめに
  1 東南アジア社会における「忘却の共同体」と「記憶の共同体」
  2 植民地知・近代知による「忘却の共同体」
  3 日本占領期が問われない意味
  4 「忘却の共同体」としての開発国家とASEAN
  おわりに―「対テロ戦争」の時代と「忘却の共同体」の行方

 第11章 ◎フィリピン◎ 戦後対米認識の変化と国際構造の変動 (亜細亜大学教授 伊藤裕子)
  はじめに
  1 戦後比米関係の形成と記憶の一致・記憶の相克
  2 冷戦期フィリピンの歴史認識の変容とナショナリズム
  3 ピープル・パワー、冷戦の終結、そして基地撤廃
  むすびにかえて

 第12章 南アジアにおける脱植民地化と歴史認識 
        インドのコモンウェルス残留 (大阪大学教授 秋田茂)
  1 なぜいんどはコモンウェルスに残留したのか?
  2 先行研究の再検討
  3 インドとコモンウェルス、スターリング圏の相互依存
  4 ネルーの外交政策と対英観の転換
  5 現実主義と歴史認識、経済協力

 第13章 ベトナム戦争の記憶と米国の東アジア政策
        米国―東アジア関係、1975〜1988年 (オハイオ州立大学教授 ロバート・マクマン)
  はじめに
  1 フォード政権の「ベトナムの記憶」とアジア諸国の懸念
  2 「ベトナムの記憶」とカーター政権の在韓米軍撤退問題
  3 レーガン政権によるベトナム戦争見直し論の展開

第W部 東アジアにおける歴史和解の可能性
 第14章 「ソンミ」の記憶とトランスナショナルな「和解・平和」 (南山大学教授 藤本博)
  はじめに
  1 「ソンミ」の記憶継承と「和解」、「非戦・平和」創造の可能性を考えるうえでの前提
  2 ソンミ村虐殺40周年における被爆者の参加の試みとその意義
  3 「ノーモア・ソンミ」からトランスナショナルな「非戦・平和」創造へ
  結びにかえて

 第15章 プロセスとしての「東アジア共同体」
        信頼醸成による日中韓の歴史和解の可能性 (中央大学教授 滝田賢治)
  問題の設定―21世紀世界における東アジアの意味
  1 北東アジアの現実
  2 「抑止力」としてのリージョナリズム
  3 東アジア共同体と日中韓の信頼醸成
  4 歴史認識をめぐる問題点―日中韓三カ国の歴史認識
  5 東アジアの歴史認識をめぐるアメリカと日本
  結論―プロセスとしての「東アジア共同体」

 第16章 未完の課題としての歴史和解
        地域安全保障と米国の戦略への影響 (ジョージ・ワシントン大学教授 マイク・モチズキ)
  はじめに 
  1 靖国問題という難問
  2 「従軍慰安婦」と米国下院決議
  3歴史和解のための制度構築

注釈

あとがき

索引