Mebius Strip (31)

「バケツをける」と「死ぬ」?
 以前、peeping Tom(のぞき魔)という表現の由来をお話ししましたが、今日は次の文を見て下さい。

 John kicked the bucket.

この文は、「ジョンがバケツをけった」という意味もありますが、イディオムで「ジョンは死んでしまった」という意味もあります。「バケツをけったら、なぜ死ぬことになるのか?」って思いますよね。
 これには2つの説があります。一つは自殺の仕方と関係があります。昔、電気もガスもないときに自殺といえばやはり首吊りでしょう。その時にバケツをひっくり返して台にしてその上に乗り、ロープを首にかけて、台にしているバケツをけっ飛ばしたらしいのです。ここから、kick the bucketで「自殺する」、そして「死ぬ」となったそうです。
 一方、もう一つの説は、家畜と関係があったようです。牛やブタを食用とする際は、血を抜かなければなりませんが、昔は足を納屋などの天井の梁(はり)にくくりつけて血を抜いたそうです。その様を見ると、まるで牛やブタの足が梁をけっ飛ばしているように見えたといいます。梁のことをbucketともいいますのでこのようなイディオムができたようです。イディオムは、中学や高校では暗記しなければならない物でした。もちろん暗記しなければならないのは変わりませんが、まるまる意味もわからず暗記するのは辛いものです。多少なりとも、何らかの覚えるためのきっかけのような物がほしい物です。今日のイディオム、kick the bucketはその意味で覚えやすいと思います。
 また、イディオムはその言語の文化を如実に表していますね。push up (the) daisiesやturn one's toes to the daisiesなどもkick the bucketと同じ意味のイディオムですが、文化の臭いプンプンって感じですよね。ちょっと汚いですが、The shit hit the fan.ってのも想像できますか?固形排泄物がまわっている扇風機にぶつかったら「大変なことになる」ことうけあいですよね。